研究概要 |
本研究は、増殖能の高い癌細胞の供給源として自己複製し、さらに抗癌剤多剤耐性や放射線耐性形質を有する癌幹細胞が口腔癌においても存在するか否かを明らかにし、それを分離・同定することによって、癌幹細胞特異的治療法を開発することを目的とする。 1) 初年度において、数種の口腔扁平上皮癌培養細胞(SCCKN, SCCTF, OSC-19, OSC-20, KB/Neo, KB/COX-2)についてFACSによるSP分画を検討したところ、癌幹細胞と考えられるVerapamil感受性細胞が0.04~0.04%程度含まれていることが明らかとなり、その分画の細胞を10,000個NOD/SCIDマウスに移植したが、腫瘍形成には至らなかった。SP分画の分離条件の検討が必要である。 2) 多剤耐性遺伝子MDR-1を発現している口腔扁平上皮癌由来シスプラチン耐性H-1RおよびSa-3Rは、親細胞に比べ、SP分画の増加とCD44/CXCR4発現の亢進を認めた。この現象が癌幹細胞に特異的か否か他のシスプラチン耐性細胞を作成して検討中である。 3) 癌幹細胞と上皮・間葉移行(EMT)の関連が示唆されていることから、浸潤様式の異なる口腔扁平上皮癌培養細胞(Grade3 ; SCCKN, HSC-2, OSC-20, Grade 4C ; HSC-3, SCC-25, OSC-19, Grade 4D ; HOC313, TSU)に対して、癌幹細胞様細胞の存在を癌幹細胞マーカーに対するウエスタンブロットで検討している。 培養細胞レベルでのエビデンスを固めたうえで、臨床材料における検討へ移行の予定である。
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