研究課題
オートファジーは、大規模なタンパク質分解系であり、低酸素刺激や小胞体ストレスなどにより誘導されることが知られている。また、細胞内の不良タンパク質を分解し、リサイクルすることで生体の恒常性維持に重要な役割を果たしている。一方、骨芽細胞では基質タンパク質を多く産生することが知られており、不良タンパク質の蓄積によって小胞体ストレスが生じやすいと考えられる。しかしながら、オートファジーが口腔・顎・顔面の形成に果たす役割については、これまで検討されたことがなかった。その結果、APの特異的マーカーであるLC3をGFPにて標識して恒常的に発現させる変異マウスを用いて骨組織を顎・顔面・口腔組織を観察したところ、頭蓋骨骨芽細胞領域においてLC3-GFPシグナルの集積を認めることが明らかとなった。in vitroにおいてオートファジーの発現について検討したところ、骨芽細胞ではAPが生じており、分化とともにAPおよび、ERストレス応答が亢進することが明らかとなった。また、低酸素刺激下でAPおよび、ERストレス応答が促進することが分かった。また、オートファジーのノックアウトマウスであるATG5のノックアウトマウスにおいて骨の一部に形成不全が生じることを見出した。これらの結果より、非常に高いストレス環境化にあると考えられる骨基質産生時の骨芽細胞の恒常性維持に、APやERストレス応答が関与していることが示唆された。これらの成果をもとに現在、論文投稿の準備を行っている。
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J Biol Chem
巻: 287(15) ページ: 12217-29