研究課題/領域番号 |
21390549
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
吉田 教明 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40230750)
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研究分担者 |
古賀 義之 長崎大学, 病院, 講師 (50175329)
北浦 英樹 東北大学, 大学病院, 助教 (60295087)
田中 基大 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (90420629)
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キーワード | 咀嚼機能 / 顎運動 / 筋電図 / 嚥下機能 / ノックアウトマウス / 咀嚼中枢 / 顎口腔機能 |
研究概要 |
咀嚼・嚥下機能の生後発達の過程や成育段階の中で、障害を受けやすい中枢部位を探り、咀嚼・嚥下機能障害の発生機序を明らかにすることを目的とし、まず咀嚼・嚥下機能の生後発達の異常像として、咀嚼・嚥下中枢異常モデルと考えられるPRIP遺伝子欠損マウスおよびOtx3遺伝子欠損マウスを対象に、顎口腔機能を解析した。 GABA、受容体の膜発現率が10~30%多いPRIP遺伝子欠損マウスでは、健常マウスと比較して、不安定な咀嚼運動軌跡が観察された。計測システム装着後、計測を重ねる毎に、次第に正常な咀嚼運動に回復する傾向がみられたが、正常マウスのような安定した咀嚼運動は得られなかった。PRIP-KOマウスでは、咀嚼中枢(Masticatory Central Pattern Generator)における咀嚼リズムの形成に異常がみられる可能性が示唆されたが、不安定な咀嚼運動は、CPGよりも上位脳からの影響による可能性も否定できないので、今後の解析が必要である。 Dmbx1-KOマウスでは、1)筋活動が小さい。2)運動経路がやや不安定であるという特徴がみられた。1)に関しては、咀嚼筋等の形態的な発育の遅延による可能性、2)に関しては、多動傾向が強く、落ち着きがなく、咀嚼動作に集中できていない、行動学的な特徴によってもたらされたという可能性も残っている。咀嚼リズムについては、正常マウスと差がなく、極めてリズミカルな咀嚼運動が観察された。Dmbx1-KOマウスで異常な顎運動が記録されたのは、切歯が過萌出し、不正咬合が発現することによる、2次的な影響で、咀嚼中枢の異常によるものではないという可能性が考えられるため、今後のさらなる観察が必要と思われる。
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