研究課題/領域番号 |
21390551
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
小林 泰浩 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 准教授 (20264252)
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研究分担者 |
高橋 直之 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (90119222)
平賀 徹 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (70322170)
山下 照仁 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (90302893)
溝口 利英 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (90329475)
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キーワード | 骨吸収 / 骨形成 / Wnt5a / 歯の移動 / 破骨細胞 |
研究概要 |
加齢によって歯槽骨の骨代謝回転が低下する分子機構を明らかにするため、以下の研究を実施した。 破骨細胞および前駆細胞特異的Ror2欠損マウスの骨代謝回転の解析:RANK-CreマウスあるいはCathepsinK-CreマウスとRor2floxマウスを交配し、破骨細胞前駆細胞特異的あるいは破骨細胞特異的にRor2遺伝子を欠損したマウス(Ror2ΔOCP、 Ror2ΔOCマウス)を作製し、大腿骨における骨吸収と骨形成を解析した。その結果、Ror2ΔOCPは破骨細胞数が減少し、骨吸収が低下した。骨形成に変化は認められなかった。一方、Ror2ΔOCは、野生型マウスと比較して破骨細胞数の変化は認めなかったが、骨吸収は低下した。両変異マウスとも骨芽細胞数および血中アルカリホスファターゼ活性に異常を認めなかった。 骨芽細胞ならびに破骨細胞特異的Wnt5a欠損マウスの骨代謝回転の解析:平成21年度に作製したWnt5afloxキメラマウスと野生型マウスを交配し、遺伝子変異が次世代に伝播することを確認した。次にCMV-Creマウスと交配し、全身性にWnt5a遺伝子を除去したマウス(Wnt5aΔ/+)を作出した。Wnt5aΔ/+同士の交配により得られるWnt5Δ/Δマウスの表現形がWnt5a遺伝子欠損マウスのそれと同様か確認している。さらに、Wnt5afloxマウスと骨芽細胞でCreを発現するOsterix-Creマウスを交配し、骨芽細胞特異的Wnt5a欠損マウスを作製中である。 Ror2ΔOCPの骨組織における破骨細胞のマーカー遺伝子の発現をreal time-PCR法で解析した。その結果、RANKの遺伝子発現がRor2ΔOCPの骨組織では著しく低下していた。次に、RANKのプロモータ活性をレポーターアッセイを用いて解析した。Wnt5aはRor2に結合することで、JNKを活性化すること、JNKがc-Junを活性化しRANKの発現を増強することが明らかになった。この結果は、Wnt5a-Ror2シグナルが骨リモデリングを調節するための標的になり得ることを意味している。
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