研究課題/領域番号 |
21390552
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
根本 英二 東北大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (40292221)
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研究分担者 |
島内 英俊 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (70187425)
田村 正人 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (30236757)
多田 浩之 東北大学, 大学院・歯学研究科, 大学院非常勤講師 (70431632)
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キーワード | Wntシグナル / 骨芽細胞 / 細胞分化 |
研究概要 |
Wntsは、初期発生や生体組織の機能維持に至る様々な局面で機能する分泌型糖タンパク分子である。Wntシグナルはβ-カテニン依存的な古典的経路(カノニカルWntシグナル)とβ-カテニン非依存的な非古典的経路(ノンカノニカルWntシグナル)に分類される。カノニカルWntシグナルは間葉系幹細胞から骨芽細胞への分化、そして成熟に至る過程において重要な役割を果たしていることが多くの研究から知られている。しかしながら、Wnt5aを代表とするノンカノニカルWntシグナルの骨生物学における特異的な役割に関しては、未だ不明な点が多く残されている。 本研究において、Wnt5aがラット脛骨成長板の石灰化部の骨芽細胞ならびにラット脛骨骨髄の骨芽細胞に発現していることを免疫組織化学によって証明した。さらに、培養前骨芽細胞(MC3T3-E1細胞)を用いて、BMP-2(bone morphogenetic protein-2)刺激により誘導される分化モデルにおいて、細胞分化に伴いWnt5aおよびRor2の発現が亢進することをリアルタイムPCR法によって明らかにした。このBMP-2刺激による同細胞の分化モデルを用いて解析を進めたところ、siRNA法によりWnt5aおよびその受容体であるRor2の遺伝子発現をknock down syryことにより、アルカリホスファターゼおよびosteocalcin遺伝子発現、ならびにアルカリホスファターゼ活性が抑制されることが明らかとなった。これらの知見は、BMP-2刺激による骨芽細胞の分化においては、Wnt5a/Ror2シグナルが重要な役割を担っていることが示唆するものである。さらに、BMP-2/Smadシグナルをウェスタンブロット法で解析したところ、同細胞のWnt5a遺伝子のknockdownの有無にかかわらず、Smad1/5/8のリン酸化が同程度に誘導された。このことから、Wnt5aシグナリングはBMP-2/Smadシグナリングとは独立して機能していることが示唆された。
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