研究課題/領域番号 |
21390556
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
西村 英紀 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (80208222)
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研究分担者 |
安孫子 宜光 日本大学, 歯学部, 教授 (70050086)
浅野 知一郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (70242063)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 歯周病 / 軽微な慢性炎症 / 脂肪組織 / マクロファージ / インスリン抵抗性 / 2型糖尿病 / 高感度CRP / 脂肪細胞-マクロファージ相互作用 |
研究概要 |
過去3年間の研究成果から歯周医学の分子基盤(歯周病による軽微な慢性炎症が全身性に増幅される機序)として、歯周炎症が脂肪組織における炎症反応の拡大を通して全身性に増幅される機序の一端を明らかにした。すなわち、日本人に多くみられる軽度肥満あるいは過体重の状態において、歯周感染で活性化された単球/マクロファージ系細胞が脂肪組織に集積することで、脂肪細胞との相互作用を介して門脈域における炎症反応を拡大するとした基盤である。この分子基盤が臨床的にヒトを対象とした疫学研究によっても支持されるか否かについて、検討を加えた。すなわち、2型糖尿病患者における歯周病合併患者で全身性に炎症が惹起されている患者層の臨床的特徴を明らかにし、当該患者に歯周治療を施すことで、炎症反応が軽減するか否かについての介入を試みた。その結果、仮に類似の臨床所見を示す歯周病を有する2型糖尿病患者であっても、炎症マーカーが上昇している患者層は炎症マーカー低値群に比べ体格指数が有意に上昇していることを明らかにした。炎症マーカー高値群と低値群の平均体格指数の差はわずかではあるものの、その間には統計学的に有意な違いが観察された。さらに両群に歯周病治療を施すことで上昇群のみ、炎症マーカーが低下したことから炎症マーカーの上昇は歯周炎症によるものであることを明らかにした。また、歯周治療に伴って炎症マーカー(高感度CRP)のみならずグリコヘモグロビン値も低下した。高感度CRPの上昇は膵ベータ細胞におけるインスリン分泌能よりも、むしろインスリン抵抗性とより強い相関があることが明らかにされている。以上から、歯周炎症が脂肪組織における炎症反応の拡大を介して全身性に軽微な炎症を惹起し、インスリン抵抗性の原因となることを過去3年間の分子基盤研究、そして同時進行で遂行してきた疫学研究によって導き出した。歯周病は老化を促進する因子と言える。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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