研究課題/領域番号 |
21390558
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
葭原 明弘 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50201033)
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研究分担者 |
宮崎 秀夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00157629)
伊藤 加代子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80401735)
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キーワード | 歯の喪失 / 腎機能低下 / 高齢者 / 経年調査 |
研究概要 |
骨代謝と腎機能の低下は関連しており、歯周病の発症、進行に対しても大きな影響を及ぼすことが考えられた。今まで我々は腎機能の評価指標としてクレアチニンクリアランスに加え血清シスタチンCを採用した。クレアチニンクリアランスが筋力や年齢によって影響を受けるのに対し、血清シスタチンCは安定した評価が可能である。さらに、血清シスタチンCと歯周病の関連について明らかにした。今年度では血清シスタチンCを用いた腎機能の低下と歯の喪失との関連を経年的に評価することを目的とした。 対象者は55-74歳の女性、406名である。血清シスタチンCに加え、血清25(OH)D、喫煙状況、BMIについての情報を得た。また、歯科関連では、現在歯数に加え、クリニカルアタッチメントレベルについての情報を得た。経年的歯の喪失状況と腎機能との関連を評価するため、まず、シスタチンCの変化量を3分位に分け、喪失歯数を比較した。さらにロジスティック回帰分析を行った。歯の喪失の有無を従属変数に、血清シスタチンCを含む関連する7変数を独立変数として採用した。 その結果、67.8%の対象者に腎機能の低下が認められた。腎機能の低下と歯の喪失歯数とは有意な関連が認められ、3分位では喪失歯数は1.56±2.14本であり、1分位での喪失歯数、0.93±1.47とは統計学的に有意な差が認められた(p<0.020)。ロジスティック回帰分析の結果、血清シスタチンCの単位あたりの変化量の歯の喪失に対するオッズ比は7.70(p=0.029)であった。 本調査結果から、腎機能の低下は歯の喪失と関連することが明らかとなった。本調査では6割以上の対象者が腎機能低下の状態であったことを考慮すると、今後、医科、歯科連携をすすめ、腎機能低下者に対する歯科管理を併せて実施することが必要と考えられた。
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