研究概要 |
本研究では,標準計画・個別計画・実施計画・実施・実施後観察という臨床のプロセスの中で,どのように看護の経験知が組み込まれ,医療の質安全保証にどのように貢献しているのかを,「臨床における看護知識の構造化」という手段であきらかにする.これらの作業を通して抽出された経験知を構造化し,知識を再利用するための「医療の質安全保証に必要とする,臨床における看護知識の生産と管理を支援するシステム」の設計を行う. H22年度は以下を実施した. (1)看護要素に関する知識ベースである看護マスター(観察編・行為編)の英訳化 (2)フィンランド標準看護ターミノロジーと日本の看護マスターとのマッピング可能性と看護実践比較の検討会議を東フィンランド大学で3名の教授と開催した.同様な看護行為の存在を確認し,共同研究を行うこととなった. (3)患者状態別の看護実践知識カタログコンテンツを開発した.構造は,合併症と有害事象発生の状態監視と,合併症・有害事象防止ケアであると判断された. 外科系:結腸がん手術・胃がん手術 内科系:肺炎 周産期:妊娠・出産・産褥プロセス 症状別:悪心嘔吐・下痢・長期臥床によるADL低下 (4)患者状態別の看護実践知識カタログの活用を,某病院で,看護部長を統括としたプロジェクトとして行うことになった.開発された看護カタログを編集して某病院標準とすることになった (5)看護要素に関する知識ベースである看護マスターの普及状況調査を実施した.2500病院に調査用紙を送付し,500強の病院から回答を得た.電子的に活用している病院が70弱存在し,有用性と普及可能性が示唆された. (6)3つの学会における成果報告を行った. 看護管理学会(横浜):発表6件,インフォメーションイクスチェンジ1件 医療情報学会(浜松):発表2件,ワークショップ1件 医療の質安全学会(幕張):発表2件
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