本年度は、化学物質過敏症看護相談室の環境(物理的環境と人の環境)を整えることに重点を置いて研究を進めた。 まず、4月~6月にかけては、津市内にあるトータルヘルスセンター(診察と講演が可能な施設)において、研究協力者である医師および医療機材開発業者と、看護外来で使用する機器の選定と相談室の開業に関するミーティングを行い、8月までに機材を設置し終えた。 7月より、看護外来で使用する電子カルテの設計および開発と、看護外来を利用する患者がweb上で使用できる自己診断サイトの開発に着手し、現在も設計と開発は進行中(改修を繰り返す状態)である。また、3月現在では、化学物質過敏症看護外来のホームページの更新に着手している。 さらに、今年度は、地域社会における患者支援ネットワークの確立の基礎を築くために、化学物質過敏症看護相談室と連携できる各種専門家(医師:シックハウス症候群および化学物質過敏症外来担当、助産師:開業助産施設、建築士:建築企業、保健師、社会福祉士、看護師)への研究協力依頼を行った。その中で、シックハウス症候群患者への対応として、実際のヘルシーハウス(天然素材の住宅)内の化学物質濃度測定を行った。 本年度に予定していた一般市民や医療従事者を対象とした講演活動(化学物質過敏症の予防と治療に関する講演)は、新型インフルエンザの流行の拡大という社会的問題に配慮して行わなかったため、来年度に実施する予定である。
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