研究概要 |
5~6月にかけて、化学物質過敏症看護相談室(NCR-CS)を三重大学内に再移設し、学内での化学物質過敏症患者の相談活動を再開した。これは、H22年度に、学外クリニックへNCR-CSを移動させてからの患者相談件数の減少の原因をアセスメントした上での対処であったが、結果として、相談件数は増加せず、電話によるものが3件とカウンセリングが1件のみであった。 11月、これらの研究結果を、第20回日本臨床環境医学会(千葉)において、「化学物質過敏症患者への看護支援の限界と臨床環境看護学の必要性」として報告した。また、日本におけるNCR-CSの展開の現状と問題点を、1stNUS-NUH International Nursing Conference(シンガポール)において報告した。これらの報告内容は、今後、論文として発表する予定である。 このように、今年度は、地域社会におけるNCR-CSの展開の問題点と課題が明確になったため、化学物質過敏症患者の心理社会的健康調査を行うことによって実態を把握し、それに伴ってNCR-CSの必要性を再度確認することとなった。この健康調査は、調査用紙にNo VOCの紙を使用し、デモグラフィックデータ,QEESI(スクリーニング),MUIS-C(不確実性),QUIK-R(QOL),自由記載という5つの項目内容からなるアンケートを作成して、9月末までに行った。 アンケート調査の結果、自由記載項目における患者らの訴えは大量且つ深刻であり、相談室の必要性を再確認することができた。また、本調査内容の一部を質的に分析し、上記同国内学会において「化学物質過敏症患者の病気に関する思いの分析」として報告した。当報告は研究室に所属する学生が行ったため、同学会における学生部門優秀賞を受賞した。その他の調査結果は、現在データ分析中であり、今後、論文報告予定である。
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