研究課題
21年度は、3班6グループにより下記の研究を行った。1)看護における"手"を用いたケアとその効果に関する文献検討と実態調査(川嶋、尾崎班)では文献検討を参考に「看護師の手を用いたケア」の実態調査用紙を作成。プレテストにより質問紙の洗練を行った後、医療機関、介護福祉施設等に勤務している看護師へ質問紙の配布を行い、現時点での回答数は577(回収率は28%)である。2)臨床場面における"手"の効果の検証(小板橋班)では、外来で継続的にマッサージを実施している患者を対象に臨床事例の検討を行った。痛みのある腰背部と倦怠感のある下肢のマッサージを実施した結果、心拍数の減少や「背中に羽が生えたようだ」「足が軽くなった」等の反応があった。3)手で触れる看護援助技術の有効性と意味の研究(尾崎班)は、学生に対する手のケア技術を教授した後、ケア実施後に対象と学生の反応を聴取、何れもその有用性が実感されていた。4)手のわざの癒しの効果研究(川嶋班)では、(1)脳性麻痺障害児者の訓練法の一つとして認知されている「静的弛緩誘導法」の有用性について文献検討した。(2)スウェーデンマッサージの効果の検証については、タクティールケアに焦点をあてることとして、(1)タクティールケアに関する先行研究の検討を行い、(2)認知症緩和ケアの理念とタクティールケアの手技の習得(3)スウェーデンにおける認知症緩和ケアの実際を理解するため現地での研修に参加(4)日本におけるタクティールケアの実態を明らかにするために実施者へのインタビューを行った。この他、嚥下障害者の食事介助場面において筋強剛症状のある嚥下障害者に対して、リラックスを促がすために看護師の手を用いたアプローチにより食べられる状態を整えている様子が参与観察の結果得られた。上記の成果をふまえて、次年度は手のケアの有用性の検証とともに研修プログラムの作成と理論構築に向かう準備を行う予定である。
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日本統合医療学会会誌 3
ページ: 71-74