研究課題
22年度は下記の研究を行った。1)【川嶋研究室】では4班により研究を行った。(1)グライナー班では、医療機関、介護福祉施設等の看護師へ手を用いたケアに関する実態調査を行い、回答数は582(回収率28%)であった。手を用いたケアの重要性を認識しているが、実施する上での知識レベルや技術の熟練度は高くなかった。(2)川嶋・川原班では、高齢者に対するタクティールケアの効果を明らかにする目的でRCTを実施した。対象は健常な高齢者20名である。二元配置分散分析の結果、心拍数、HF、皮膚血流量で有意差を確認、実験群のみ介入前後でPOMSの混乱の有意な低下、およびリラクセーション(VAS)の有意な上昇が確認された。(3)千葉班では、タクティールケアを実施している看護職・介護職に、実施状態や認知症高齢者におよぼす効果を明らかにすることを目的にインタビューを実施した。認知症高齢者に精神的安寧やBPSD軽減、ケア提供者間のコミュニケーション促進などの効果が明かとなった。(4)川嶋班では「静的弛緩誘導法」の研修を開催することになった。その他、嚥下障害者への食事介助において看護師が触れることについて前年度に引き続き調査した。2)【小板橋・柳研究室】の臨床場面における"手"の効果の検証では、外来通院中または入院中の患者に対しマッサージを施行した。対象者から「身体が温かくなった」「幸せな気分になれた」などの反応があり心身両面への影響が確認された。3)【尾崎研究室】の手で触れる看護援助技術の有効性と意味の研究では、寝衣の上からのマッサージによる看護ケアの科学的根拠を生理的指標および主観的指標から明らかにすることを目的とした。65歳以上の協力者20名(地域住民、入院患者)の測定を終えた。上記の成果をふまえて、次年度は手のケアの有用性の検証とともに研修プログラムの作成と理論構築に向かう準備を行う予定である。
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