研究課題/領域番号 |
21390577
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
水野 道代 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70287051)
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研究分担者 |
片岡 純 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (70259307)
大石 ふみ子 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 特任教授 (10276876)
佐藤 正美 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (60279833)
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キーワード | 手術 / がん患者 / サポートプログラム / 適応 / 継続ケア / QOL |
研究概要 |
当該研究の目的は、術後がん患者の目発的な適応行動を活性化することを目指したサポートプログラムの効果を介入研究によって検討することである。H23年度は、対象数を限定して、介入プロトコルにそって援助介入を実施する計画であったが、縦断調査の結果報告を行う段階で、評価指標の改良が必要なことが判明したため、縦断調査の結果に基づいた評価指標の作成と介入プロトコルの見直しに、研究の重点を移して計画を進めた。 結果として縦断調査では、消化器がんの手術を受けて退院後1週間と術後6カ月の両時期の調査に返答した患者のうち、冊子(プログラム教材の一つ)を利用した患者のデータを分析した。対象(有効回答数33)の平均年齢は63.1(SD,11.3)歳、そのうちの60.6%が男性であった。術後6ヶ月の時点で、QOLと不安の値は退院後1週間目よりも有意に改善していた(t=-3.81,p<0.001;t=2.12,p<0.05)。「確かにそうだ」「何となくそうだ」「自分でも何とかしてみよう」といった冊子への反応ごとに尺度得点を2時点で比較した結果、統計的有意差は確認できなかったが、反応の違による適応状況の特徴を明らかにすることができた。適応状況の改善をもっとも示す変数の値となったのは、「自分でも何とかしてみよう」と思った患者たちであった。また、がんの部位や加療や既往症の有無も適応状況と関連することが示唆された。そして、精神症状や身体症状を測定する追加尺度を評価指標に加えれば、初期治療を受けた後の難治性がん患者に対象を限定してプログラムの利用者を募り、実施調査をすることが可能と判断された。 負担感尺度の改良については、がんの診断や治療に伴って生じる問題を解決するためにも患者の対処行動は高めたいが、対処に伴う過度な負担感は与えたくないという考えに基づいて、尺度の構成概念妥当性を検討するための調査における変数(負担感、対処方略、ストレス)を決め、仮説を設定するまでに至った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プログラム教材の一部を使用した予備調査によって、援助介入の効果を評価する指標の妥当性を検討した結果、改良あるいは新たな指標の追加が必要であることが判明したため、その作業が研究計画に追加されたため。
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今後の研究の推進方策 |
予備調査の結果に基づいて、ランダム比較試験に入る前に、介入効果の評価指標を再検討し、さらに介入援助を実施する対象を難治性がん患者に限定した。今回は研究デザインにRCTを組み込まないことになったが、対象となる難治性がん患者の中で仮説モデルにそって縦断的に比較検討を行うことで、プログラムの有効性と安全性を検討できると考えている。
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