研究課題/領域番号 |
21390579
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
千葉 由美 横浜市立大学, 医学部, 教授 (10313256)
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研究分担者 |
市村 久美子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (00143149)
石田 瞭 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (00327933)
戸原 玄 日本大学, 歯学部, 准教授 (00396954)
平野 浩彦 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), その他部局等, その他 (10271561)
山田 律子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (70285542)
植田 耕一郎 日本大学, 歯学部, 教授 (80313518)
唐帆 健浩 杏林大学, 医学部, 准教授 (90508293)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 摂食・嚥下障害 / 包括ケア / 医療の質 / 安全管理 |
研究概要 |
効果効率性の高い医療提供のために、看護師の摂食・嚥下ケア実践能力を向上するための介入プログラム内容精選と実践ケアモデル作成のための調査を実施した。全国の摂食・嚥下障害看護認定看護師を対象とし、看護師調査と患者調査を行った。対象の病態を摂食・嚥下障害の発生率の高い脳梗塞と特定し、作成した摂食・嚥下アセスメント・ケア項目を用い、実際の患者への実践について調査を依頼した。最終的な参加対象は19名であった。勤務先状況に関しては、特定機能病院が5名、地域医療支援病院が7名、一般病院・診療所が6名であった。平均許可病床数は491.7床、病院内の平均看護師数は304.6名で、平均入院患者数412.3名、平均経管栄養患者数43.6名で全体の約1割と占めていた。なお、言語聴覚士の平均人数は3.1名であった。組織に有する体制としてNST(栄養支援チーム)84.2%、摂食・嚥下チーム57.9%であった。摂食・嚥下障害患者の評価者・訓練の担当職種は、医師57.9%、言語聴覚氏士68.4%、摂食・嚥下認定看護師94.7%、病棟看護師47.4%であった。認定看護師の実施している業務内容は、摂食・嚥下関連ケアの実践、アセスメント(日常生活全般)が各94.7%、スクリーニング89.5%、摂食・嚥下機能評価84.2%の順であった。院内の現任教育は73.7%の実施率となっていた。脳血管障害対象の患者回収数は54名であった。有疾患は脳血管障害の他、廃用症候群29.3%、認知症20.7%が該当していた。なお、既往で肺炎(誤嚥性肺炎)は34.5%、低栄養17.2%、脱水8.6%であった。身体機能の高い人や認知症のレベルも悪い人が多い傾向があった。具体的なアセスメントで問題がありケアを必要とする項目は、高い順から体力60.3%、体位・姿勢保持力56.9%、顔面の運動・感覚機能、咽頭蠕動様運動39.7%の順であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の成果を次年度に導入するための基礎的資料が得られたと考える。特に摂食・嚥下障害の原因疾患として脳血管疾患は代表的疾患であり、臨床学的特徴を数量的に確認することができた。また、今回、得られたデータはこれまでの結果を強調する内容であり、介入プログラムの視点をより明確化したと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、介入調査を拡大する上で、多項目からなる摂食・嚥下障害のアセスメント・ケア項目を精選、整理するための視点をより明確化することができた。これらの試みから、現在、看護師の実践能力評価を簡易的に測定するための尺度開発を考えている。感度の良い尺度開発によって、看護師の実践能力を測定を可能とし、それらが医療現場における事象(患者のアウトカムなど)との関連性を検証するための道具としたい。このような実践能力を測定する尺度開発によって、施設全体の看護実践の力量の可視化を可能とし、実践改善の成果を示せるのではないかと考えている。また、これらを一般病院だけでなく、看護職が勤務する場で用いることができるものにするとともに、介護実践者においてもこれらの尺度の応用化を目指す。一方、医療安全に関わる危機管理システムに関しては、HAZOPを用いながら機関移行時などのリスク発生率を数量的に計算できればと考えている。これらの数量化は目標改善率の設定などに役立つと考える。
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