研究分担者 |
的場 元弘 国立がん研究センター, 研究所, 助手 (20199904)
村上 敏史 国立がん研究センター, 研究所, 助手 (70327427)
亀石 千園 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助教 (90376202)
春日井 邦夫 愛知医科大学, 医学部, 教授 (80298570)
水野 真理 愛知医科大学, 医学部, 講師 (20351124)
岩瀬 哲 東京大学, 医学部附属病院・緩和ケア診療部, 副部長 (60372372)
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研究概要 |
本研究の最終目的は、痛みを十分に表出できないがん性疼痛を有する患者における除痛の確認に有用な補助診断の確立にある。第一段階として、VASやNRSによって痛みの強さを評価できるがん性疼痛のある患者を対象に、痛みの自己評価と心電図電位変動の変化による評価を行い、後者の方法によって患者の自己評価のだいたい指標となりうるのかを検討した。 心電図の分析は、第3誘導(左鎖骨:黄)のデータを用い、1KHzでサンプリングした原波形を記録し、心電図電位変動のウェーブレット解析を行った。自己評価は、計測開始10分経過時に記入、また最も痛みが強かった時または与薬前,痛みの強さが変化した時,与薬1時間後に痛みの強さをVASやNRSによって申告を依頼した。計測中は、可能な限り安静、脱力、発声しない、VASやNRSなどの申告している区間では,特に電極装着部皮膚の伸展(首を左右に向けない)、電極への接触を極力避けるように依頼した。 協力を得られた被験者のうち自己申告区間と対応する心電図電位に体動等によるアーチファクトのない8名(男性=3,67±5;女性=5,53±14)被験者では、VASやNRSとそれらに対応する区間の電位の平均値に有意な相関が認められた(VAS;r19=0.691,P=0.001,NRS;r23=0.670,P=0.000)。さらにレスキュードーズ投与前後の自己申告区間と対応する心電図電位にアーチファクトのない5名を対象に、レスキュードーズ投与前後比較(paired t-tests)を行った結果、VASやNRSによる自己申告、心電図電位の平均値は投与前に比べ、有意に低下した(VAS:21.00±7.19 versus 48.00±21.89, t(5)=3.57 p=.016;NRS:2.60±0.42 versus 5.80±1.82, t(5)=4.26, p=.013;LF:0.03±0.02 versus 0.06±0.04, t(6)=2.87, p=.028)。サンプル数による限界はあるが、客観的な指標としての可能性が示唆された。
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