平成22年度は、がん患者とその家族、医療従事者である看護師との交流の場における相互扶助活動の意義と機能について、患者ならびに家族という当事者の視点から明らかにすることを目的とした。 がん患者会、サポートグループ活動に関する文献、資料等を吟味した結果、(1) 情報交換の機能、(2) 情緒的一体感に大別された。情報交換の機能については、医療者から提示された治療法の確認、体験に基づくセカンドオピニオン、治療に伴って生じる困難への対処法など、多岐に亘っていることがわかった。情緒的一体感は、同じ立場にあるからこその一体感で、患者の強い支えとなることが示された。この情緒的一体感が、患者、家族という立場の違いを越えて生じるものかは、規模を拡大した当事者の調査によらねばならない課題であった。文献的な考察に基づけば、情報交換における確かさの担保は、患者同士ではなされないことから、医療者が関与する重要な役割と考えられた。 国外での状況については、先駆的な医療機関の状況把握の結果、主体的で活動性の高いコアとなるメンバーが、単なるグループ活動を越えて患者コミュニティとして形成されるために、重要であることの示唆を受けた。特に、相互扶助を進めるにあたっては、当事者同士のなかで倫理的感受性を高め、活動を発展させていく必要があることがわかった。
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