平成22年度の科学研究費補助金の繰り越しにより、平成22年度に予定していた米国における高度実践看護師が医療機関周辺のコミュニティに対する貢献に関する資料を収集、また将来の展望について情報交換を行った。 米国においては、高度実践看護師の大半は、ナースプラクティショナーとして、外来医療に参画し、地域に貢献している実態を把握した。外来診察での個別対応で、がんに罹患した後の生活について経過をおってケアが続けられていた。高度な診断、治療に関する知識と技術によって培われた信頼関係は、短期入院を常とする米国においては重要で、我が国においても、外来機能を中心とした高度専門看護師の貢献が将来的には重要になると考察された。また、こうした専門性の高い看護職の中には、受け持ち患者との関係を発展させて、医療機関あるいは居住地域で開催されるピアサポートやサポートグループ活動にボランティアとして参画し、がん患者のみならず、がんの啓発活動など、コミュニティに貢献している実態が把握された。 資料収集と意見交換の結果を踏まえると、我が国においては、外来における看護職の役割拡大と外来看護の充実、従来続けてこられたがん患者と家族というコミュニティへのケアリング活動から、がんに罹患していない一般住民へのケアにその役割を拡大していくことが今後の課題として示唆された。
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