平成23年度は、医療者による「プロフェッショナルケアリング」の明確化として、医療施設を中核としたコミュニティへの貢献の可能性について、米国の子ども病院、総合病院に勤務する高度実践看護師を対象とする情報収集を行った。その結果、外来での役割拡大の必要性について示唆を得た。具体的には、看護外来には、患者の年齢を問わず家族が在席し、経過観察期にある患者へのケアが行われると同時に、がん患者の家族に向けたケアが提供されていた。さらに、診察室に訪れる多様な発達段階にある家族成員に対するがんに対する啓発、健康教育というケア実践の場としても機能していた。この結果は、看護師が患者を対象にケアリングを実践する場が、家族のケア、ひいては健康な地域住民への個別的なケアの場となっていることを示唆していた。 「プロフェッショナルケアリング」と当事者をはじめとする人にとの行う相互依存的な「ノンプロフェッショナルケアリング」の概念を含むがんコミュニティのケアリングは、コミュニティにおいて、健康水準と発達段階を軸としたテーマを有し個別の機能をもつとともに、それらを貫く意味として、健康志向で相互依存的なモデルとして構築されることが示唆された。 ケアリングの成果として測定しうる指標については、抽象的な概念としての整理の後、発達段階と健康水準を軸として、範囲を限定して作成し、洗練を加えていく必要がある。
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