研究課題/領域番号 |
21390586
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
守田 美奈子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50288065)
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研究分担者 |
吉田 みつ子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (80308288)
奥原 秀盛 静岡県立大学, 看護学部, 准教授 (60288066)
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キーワード | がん / 緩和ケア / 看護 / 実践知 / 援助方法論 |
研究概要 |
緩和ケアにおける実践知の特徴を分析し、その考察をもとに看護援助方法論モデルを構築することが本研究の目的であるが、平成22年度は緩和ケアに関する看護実践の語りに関するデータを収集し分析した。具体的には、以下の活動を行った。 1)研究機関の倫理審査委員会の承認を得たのち看護師に研究協力を依頼し、平成22年8月から平成23年2月までの7ヶ月間で18名の看護師から研究承諾を得た。 2)研究協力が得られた18名のうち13名の看護師からインタビューを行った。看護師の語る事例や看護行為(判断を含む)の特徴について、そのときの状況及び迷いや葛藤、感情などを重視し看護行為の生成プロセスという視点から分析し、語りの内容を事例毎に再構成した。 3)事例検討会を月1回程度開催し、インタビューによる看護師の語りとその内容について検討した。これまでの検討結果から、「終末期にある患者の希望とケア」「終末期の看取り」、「痛みの判断の複雑さ」、「家族の思いとその理解の難しさ」「退院調整時の知覚的判断と対応」、「終末期の排泄ケアにおける患者の意思尊重と配慮的行為の特徴」、「終末期の療養の場の選択」、「患者の怒りとその対応」などの事例を検討した。それぞれの事例において、看護師は個々の状況特性に応じた自己の知覚的判断を土台に看護ケアを展開していたが、その際他の医療スタッフの判断、悔いを伴う過去の実践経験、患者や家族との関係性などが「よりよい」を模索する看護師の志向性と絡み合いながら、その都度の看護行為が生み出されていた。さらに緩和ケアの場面では、時間性に関する経験が、看護師、患者、家族において差異がありそれが患者一看護師間の関係形成や看護行為の土台となっている可能性が示唆された。 4)第18回国際緩和医療学会(カナダ)に参加し緩和ケアに関する研究動向を把握するとともに第25回日本がん看護学会では実践知を探究するための研究方法論に関する研究成果を報告した。
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