研究課題/領域番号 |
21390586
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
守田 美奈子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50288065)
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研究分担者 |
吉田 みつ子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (80308288)
奥原 秀盛 静岡県立大学, 看護学部, 准教授 (60288066)
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キーワード | がん / 緩和ケア / 実践知 / 事例分析 / 援助方法論 |
研究概要 |
緩和ケアにおける実践知の特徴を分析し、その考察をもとに看護援助方法論モデルを構築することが本研究の目的であるが、平成23年度は緩和ケアに関する看護実践の語りに関するデータを収集し分析した。具体的には、以下の活動を行った。 1)これまで研究協力が得られたのは20名で、そこから得られた27の事例分析を進めた。 2)事例やエピソードを再構成し、それをもとに月1回開催している事例検討会で実践知の特徴について意見交換を行った。特に固有の文脈や状況にそって実践構造を検討し、そこでの実践知を考察した。さらに事例の記述方法に関しても検討した。平成22年度に続き、「終末期の家族の混乱と看護実践」「患者の意思と行為選択に関わる看護実践」「患者の希望に添ってよりよいを共に美言い出すケア」「セデーションを希望する患者と希望しない家族との関わり」「患者の尊厳を守り、患者の意思を貫くことをチームで支える」などの事例を検討した。それぞれの事例における状況特性に応じた看護ケアを展開していたが、チームとの協働、意思決定支援、その人らしさを守るケアなど多様な価値観に基づき、「よりよい」を模索する看護師の志向性と絡み合いながら、その都度の看護実践が生み出されていた。 3)ヨーロッパ緩和ケア学会第12回総合大会(リスボン)に参加し、緩和ケアに関する研究動向として、非がん患者の緩和ケア、高齢者の緩和ケアが課題になっていることを理解した。第31回日本看護科学学会、第25回日本がん看護学会、国際ケアリング学会でこれまでの成果発表を行い参加者と意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・計画立案時は50事例の計画であったが、事例分析の手法を用い、かつ文脈にそって詳細な実践の様相を繰り返し分析する方法を重視するには、事例数としては30事例程度が妥当ではないかと考えている。 ・事例検討を重ねていることに加え、今年度は援助方法論の検討に入る予定なので、おおむね順調と判断している。
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今後の研究の推進方策 |
月1回の研究会を、継続的に行い事例分析を行っていく。そこでの意見交換の内容を記録し、それを踏まえて事例ごとに実践の構造や特徴を分析する予定である。上半期の分析を終えた段階で、(1)事例毎の記述をまとめて小冊子を作すること、(2)それを読んでもらい後期に公開事例検討会を開催予定である。そこでの意見を踏まえて、事例の記述を修正し援助方法への示唆を含めた援助方法論として事例の特性ごとに項目立てを行い、事例集として成果物を完成させる予定である。
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