研究概要 |
1. 乳がん検診・自己検診に対する認識と行動及びその障壁に関する質問紙調査:成人女性の乳がん検診・自己検診に対する認識と行動及びその障壁について明らかにすることを目的とし、米国で開発されたChampion's health belief model scale ; CHBMSを翻訳し、関東・関西圏の女性を対象に質問紙調査を行った。質問紙は2,476部手交配布され、1,168部回収された。有効回答数1,166部を分析対象とし、記述統計を行った。対象者は平均45歳、乳腺疾患なしが80%であった。乳がん及び乳がん検診に対する認知率は90%以上と高かったが、定期的なマンモグラフィ検査受診者は45%、自己検診実施者は36%とやや低かった。自己検診の利点を認識している者は約80%と高かったが、障壁として自己検診方法の未習得や正確に行う自信のなさ、忘れがちなどがあげられ、このことが実施率の低さに反映していると考えられた。一方、マンモグラフィ検査の利点を認識している者は約80%以上と高く、痛み以外の障壁を感じている者は少なかった。従って、乳房のセルフチェックの習得や習慣づけられるような啓発教育、マンモグラフィ検査の痛みを軽減する工夫などが検診受診率の改善につながり、早期乳がんの発見率を高めると考える。 2. セルフチェック乳房モデル指導教材の開発:啓発教育プログラムを効果的に実施するためのセルフチェック乳房モデルを開発・実用化することを目的とし、装着への抵抗感が少なく、しこりにバリエーションがあり、持ち運びに便利な乳房モデルを試案した。関東・関西圏の2施設の乳腺クリニックに受診し研究の同意が得られた女性50人を対象に、乳房モデルの実用性に関する質問紙を行った。対象は平均41歳、乳腺疾患なしが58%、定期的自己検診の実施者が46%だった。しこりの確認ができた者は86%と多かったが、3個以上のしこりを確認できた者は24%と少なく、しこりの大きさ(36%)や深さ(20%)を鑑別できた者も少なかった。今後、しこりの深さや大きさを鑑別できるような乳房モデルに改良が必要であることが示された。
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