研究課題/領域番号 |
21390589
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上別府 圭子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70337856)
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研究分担者 |
山下 洋 九州大学, 大学病院, 特任講師 (20253403)
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キーワード | うつ病-分娩後 / 家族看護 / 周産期 / 児童虐待 / 対象愛着性 / 多機関医療協力システム / 発達障害 / 予防的保健医療サービス |
研究概要 |
[1]医療機関内の子ども虐待予防システムの基礎調査として、妊婦を対象に質問紙前向き調査を行った。137名の有効回答を解析した結果、妊娠期のうつ疑いは産後うつ疑いと相関がみられ、また、妊娠期のボンディング障害よりも産後のボンディング障害と高い相関を示した。妊娠期のメンタルヘルス向上への支援が、産後うつ疑いやボンディング障害の改善につながる可能性が示唆された。 [2]産後うつ病発症に関連する要因を明らかにすることを目的とし、妊娠後期の妊婦76名を対象に、妊娠後期と出産後1ヶ月の2時点において、質問紙調査及びアタッチメント・スタイル(AS)面接を実施した。産後うつ病発症に有意に関連していたのは、暮らし向き、妊娠後期の抑うつ、ASであった。ASをリスク要因に含めるモデルが産後うつ病の予測性を高めることが確認した。 [3]周産期にはじまるメンタルヘルスの問題とそのリスクをもつ母親とその子どもに対する包括的な支援プログラムを開発する目的で、妊娠・産後うつ病と育児不安の母親に対する病院での母子治療、および地域での育児支援と乳幼児虐待防止のための予防的介入のモデルの作成に取り組んだ。特にNICUとの連携のもと、発達障害リスクのある子どものスクリーニングと支援システムを立ち上げた。さらに、母親のメンタルヘルスの評価尺度、および母子相互作用の評価方法の標準化を行った。 [4]家族看護に対する看護師の態度を測定する尺度(FINC-NA)日本語版開発を目的に、翻訳版を作成後、2病院の看護師1101名に質問紙調査を依頼し、886名より有効回答を得た。結果、FINC-NA日本語版の信頼性・妥当性が検証された。病院看護師の家族看護現任教育の評価に使用可能である。 [5]家族看護に対する保健師の実践とその関連要因を明らかにすることを目的に、全国の市町村に勤務する母子保健担当保健師1750名に、調査を実施し、有効回答759件を得た。結果、保健師経験年数(11年以上)と家族看護学の学習経験が、保健師の家族看護実践に関連していた。
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