研究概要 |
前年度に引き続き,国内外の文献検討,過去の事例検討,国内外での家族エスノグラフィー,ミックス法を用いた家族機能調査,臨床家への面接調査などから,家族症候(第2案)を導き出した.家族症候(第2案)は,家族の経済危機,家族の成長に伴う発達力不足,家族の成長に伴う家族形成の困難,家族の勢力構造の歪曲,家族の役割構造の瑕疵,家族の社会規範からの逸脱,スピリチュアルペインによる家族の苦悩,家族のソーシャルサポートの未充足,家族アドヒアランスの低下,家族レジリエンスの発達不足,家族内の対人関係障害,家族インターフェイス膜の調節の不調,家族の医療職者との脆弱な信頼関係,イベントに対する不適応反応を生じる家族ビリーフの存在,家族の健康セルフケア力の発揮困難,家族の意思決定過程の不調,家族の合意形成困難,家族内コミュニケーションの障害,理想の家族像の実現困難,家族システムストレスの過剰負荷の20種類で構成し,それぞれの判定状態,家族症候の危険因子と原因因子,予防因子と阻止因子を明らかにした さらに,家族支援にあたって必要となる「家族支援の優先順位の三角錐モデル」を構築した.これは,家族症候度,重視度,緊急度の3要素を見抜いて,家族支援の優先順位を決定するモデルである.また,姑息的家族支援と根治的家族支援を明らかにした.主に家族の苦痛の軽減や一時的な症状改善などの目的で行う支援が姑息的家族支援であり,家族症候を特定し,家族症候を解決する支援が根治的家族支援である
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