平成24年度に引き続き,インタビュー法をもちいてのデータ収集と分析をおこなった。平成25年度までに,小児がん病棟で勤務している看護師58名,小児外科病棟で勤務している看護師10名,リエゾン看護師2名,医師6名,心理士2名,院内学級の教師15名,家族5名からデータを収集した。くわえて,比較のために英米の小児がん病棟で働く看護師9名,小児外科病棟で働く看護師2名,病院チャプレン3名,心理士1名,院内学級の教師3名からデータを収集した。以下,本研究の目的である「子どもへのターミナルケア技術の構築」と「看護師のストレスを緩和するプログラムの開発」にわけて本年度までにおこなったことを報告させていただく。 1.子どもに対するターミナルケア技術構築 データ分析を通して,看護師の子どものターミナルケアにかかわる技術として,以下のものが見出された。死の時期の予測,家族が子どもの病状の悪さを受け入れるための働きかけ,家族によい思い出を残すための関わり,ターミナル期の過ごし方と看取りについての家族の希望の引きだしとそれを実現するためのサポート,他児の死が起こったときに周囲の子どもにどう対応するか,医療者間の情報の共有である。現象の数は多いものの,まだどれも理論的飽和に至っていないため,助成終了後もデータ収集と分析を続ける予定である。 2.看護師のストレスを緩和するプログラムの開発 ターミナルケアに関わる看護師のストレスには,看護技術に関わるものと,自分が思い描く看護が実践できない状況,患者や家族とのコミュニケーションの難しさが見出された。これらの項目は多岐にわたっているため,現在,どのような形でプログラムとして組み立てるかを検討中である。
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