研究概要 |
本研究の目的は、1.新生児の哺乳行動・母子相互作用行動分析によって、新生児がリードするラッチングBaby-led latchingのプロセスを明らかにする。2.新生児の神経行動学的・生理学的および母親の乳汁分泌生理学・心理学的エビデンスに基づいた新生児がリードする母乳育児のためのスタッフ教育および母親向け教育プログラムと教育媒体を開発する。3.新生児がリードする授乳に関する教育プログラムを実施し評価することである。 平成23年度は、目的1.画像撮影システムを用いてさらに3例の母子の出生直後の動きを撮影した。新生児・母親(父親)・助産師の相互作用に着目し、撮影ケース2例の言動を逐次的に記述し相互作用を明らかにした。その結果は、出生直後からの授乳支援内容と手順作成に活用した。目的2.産科スタッフ向け母乳育児支援教育プログラムの目的、教育目標、教育内容、展開方法、教案を作成した。Smillie,C.,Colson,S.,Ransjo-Arvidson,A.Genna,CW.,Morrison,B.らの文献検討結果に基づき、具体的支援方法を精選、洗練させ、教育プログラムで使用する視聴覚教育媒体「赤ちゃんがリードする母乳育児支援(仮称)」DVD(以下DVD)コンテンツ:画像場面、支援手順、シナリオを検討し決定した。DVD作成に当たっては支援場面の予備撮影を1回実施し、撮影方法とコンテンツの改定を行った。その後、(1)DVD出生直後編の画像撮影を実施し、(1)DVD出生直後編-PartI.支援方法概説:シーン1~15、PartII.パターン別支援のコツ:シーン1~11、PartIII.お宝映像(赤ちゃんの様々な様子・行動)約20種類、を作成し、内容検討を行い再編集した。次に、(2)DVD生後早期編(産褥入院中)コンテンツ:画像場面、支援手順、シナリオを決定した。これらは、安全・安心を担保した環境下での、新生児のリードする母乳育児支援の効果的な産科スタッフ用学習ツールとして活用が期待できる。
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