本研究の目的は、1.新生児のlatchingプロセスを明らかにする。2.新生児がリードする母乳育児支援のためのスタッフ教育プログラムと教育媒体を開発する。3.作成した教育プログラムの効果を検証することである。 平成24年度は、目的2の前年度作成した産科スタッフ向け教育プログラム教材DVDを改訂し、最終的にDVD「健康な正期産の赤ちゃんがリードする授乳への支援」:出生直後編(15項)、パターン別支援(10項目)、生後早期編(8項目)を作成した。また、赤ちゃんがリードする授乳支援教育プログラム(セミナー資料冊子を用いたPPT講義と支援技法演習を含む2時間セミナー、DVDとセミナー資料冊子を用いた自己学習、セミナー受講後技術確認セッション)を確定した。 目的3として、教育プログラムの効果と効率的実施可能性を確認するために、都内一般病院産科スタッフ29名(平均年齢30.7歳、平均臨床経験年数7.0年)を対象にセミナーおよび技術確認セッションを実施し、セミナー前後と1カ月後の3時点に知識・態度に関する無記名自記式質問紙、加えて1カ月後に技術評価を実施し(大学倫理審委:2012-83、病院倫理審査:12-R119)得られたデータをSPSS Statistics20にて反復測定による一元配置分散分析を行った結果、知識の主効果(F=68.260. p< 0.001)、価値の主効果(F=16.734. P< 0.001)が認められスコアが上昇した。多重比較検定の結果1カ月目知識スコアはセミナー直後と比較して有意に減少したが(p< .005)、価値スコアには有意な減少は見られなかった(p=0.619)。技術平均スコア22.0(評価票最大値の約80%値)、セミナー・技法確認セッションとも100%~95%の参加者が「非常に~まあまあ役立つ/理解できた」と回答し、教育プログラムの有効性が示唆された。
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