研究目的は、一人暮らし高齢者の孤立を予防する地域を基盤とした見守り活動を評価するためのツールとして地域志向性と見守り活動効力感を測定する尺度を開発することである。研究対象は、地区組織活動に参加している地区住民であり、都市部Y地区の地区組織連絡会参加者110人と0地区介護予防研修会参加者47人ならびに福祉委員会参加者140人の総計297人である。研究方法は、無記名自記式質問紙調査を用いた集合または留置調査である。地域志向性の尺度原案については「高齢者・期への関心」8項目、「地域への帰属意識」4項目、「地域への貢献・還元」4項目、「近隣との共同性・凝集性」8項目から構成される計24項目案を作成し、また、地域高齢者の見守りの原案については「高齢者個人に向けた見守り」8項目、「近隣に向けた見守り」8項目、「地域に向けた見守り」8項目からなる計24項目案を作成し、項目分析ならびに因子分析を経て検討した。解析はSAS Ver. 9.2を使用し、有意水準p<0.05とした。なお、本研究の実施にあたりA大学倫理委員会の承認を得た。研究の結果、調査回答者数は、266人(回答率89.6%)であり、女性の割合62.0%、平均年齢67.2±7.3歳であった。まず、地域志向性については「帰属性」の8項目と「関係性」の4項目からなる計12項目2因子構造において最適解を得た。尺度全体の信頼性係数は0.85であった。また、見守り活動効力感については「近隣見守り」7項目ならびに「地域ネットワーク」5項目の計12項目2因子構造において最適解を得た。尺度全体の信頼性係数は0.86であった。今後、本調査により尺度の妥当性を確認し、尺度を完成することが課題である。
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