本研究の全体構想は、急増しているわが国の一人暮らし高齢者における、地域での自立した生活の継続を可能にする、地域ケアシステムを構築することである。うち、本申請研究の全体の目的は2点ある。すなわち1点目は、すでに本研究班によって開発した地域ケアシステムにおける一人暮らし高齢者自立支援プログラムを標準化することであり、2点目は、その評価方法としての評価ツールを開発し、学術的・施策的有用性を検証することである。研究計画は、PhaseI(21年~22年度)並びにPhaseII(23年~24年度)とした。うち、本報告に相当するPhaseIIでは、目的の2点目である評価ツールとして「地域志向性尺度/ Community Commitment Scale」ならびに、「地域高齢者見守り効力感尺度/Self- Efficacy Scale for Reciprocal Support in Community for the Elderly」の日本語版ならびに英語版を開発し、その信頼性、妥当性ならびに有用性を検証することを目的に、日本の大都市圏における地域住民を対象として、自記式質問紙調査を用いた大規模疫学調査を実施した。その結果、2つの尺度は、内的一貫性ならびに構成概念妥当性および既知の類似概念における基準関連妥当性を有した尺度であることが実証された。今後は、本尺度におけるノミナルデータの蓄積ならびに普及が課題である(尺度名称は、2012年度末現在の仮称)。
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