「研究の目的」本研究は、軽度要介護高齢者が過去にできていた基本的な日常生活行動を取り戻すための自宅で容易に実施できるケアプログラムの介入効果を検証し、それに基づいた教育ツールの開発と実用化を目的とした。また、軽度要介護高齢者の自立改善に重要であり、適切な支援方法を明らかにするために、サービス内容や頻度が異なるフィンランド、アメリカ、韓国でも同様な研究を行う。 「研究方法」65歳以上の在宅ケア利用者で、介護認定が要支援1と2及び要介護1の高齢者を対象とし、無作為割り付け介入研究を行う。介入群に対しては、基本的な日常行動の非自立項目に焦点をあて、16項目から構成された自立促進プログラムを用いてケアマネジャーによる日常生活行動の指導を2か月毎に3回行い、対象群に対しては通常行っているケアを行った。ベースライン時調査から6ヶ月後に、介入前後の自立度の変化を調べ、介入群と対照群間における自立度改善率を比較することで、介入効果を検証する。 「実施状況」国内においては、神奈川県南足柄市を研究協力フィールド第1として、7カ所の居宅介護事業からケアマネジャー19入から協力が得られた。現時点で研究協力への同意が得られ、第一回目調査に参加できたのは114人(介入群57人、対象群57入)人である。そのうち、92人分(約81%)の調査票が回収でき、残りの22人ついては調査進行中である。各事業所からは、今後研究対象基準に合う在宅サービス利用者が増えた場合は、研究協力者が新たに加わる可能性がある。第2研究協力フィールドとして、大田原市役所から協力の承諾を得られた。現在調査開始準備中である。 国外から、フィンランドのセイナヨーキ大学、アメリカのコロラド大学、韓国のカトリック大学3か所から共同研究の合意が得られ、フィンランドでは、すでに介入調査が行われ、22年4月末に6ヶ月間の調査が終了した。アメリカと韓国では、春から秋にかけて調査を開始する予定である。
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