研究概要 |
この研究では,フィリピン共和国,ルソン島南東端に位置するイロシンカルデラの活動史を地熱現象も含めて解明することを目的としている.特に約4万年前に噴出したイロシン火砕流によるカルデラ形成以降に焦点を当てて研究を進めた.本年度の研究は,次の3つに大別できる.1.現地調査を研究分担者(小林,田口)や協力者(藤木利之,鳥井真之,高島勲)らと共に進め,それぞれの分野(火山地質,花粉分析,熱ルミネッセンス年代測定など)での情報を収集すると共に,次のボーリング掘削の候補地の選定を行った.2.カルデラ内でボーリング掘削を実施し,2カ所で計60mのコアを採取した.現地の共同研究者であるフィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)のMirabueno博士らが中心に,観察・記載しており,これまで未記載であった後カルデラ火山からのテフラ層が複数見つかった.詳細については,現在解析中である.3.日比の研究者が現地に集まり,研究集会を行った.PHIVOLCSに蓄積された研究結果を公開してもらい,日本側の研究枝術を紹介することが目的であり,十分な意見交換が行われた.これらの内容は次年度に出版を計画している研究報告書(データ集)としてまとまられ,印刷・公表する予定である. このプロジェクトでは,日比研究者の共労体制の確立,研究成果の防災など公への還元を心がけており.PHIVOLCSとの共同研究によって,これらは確実に進められている.
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