研究課題/領域番号 |
21401007
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
冨永 典子 放送大学, 東京足立学習センター, 特任教授 (30164031)
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研究分担者 |
佐竹 元吉 お茶の水女子大学, 生活環境教育研究センター, 客員教授 (10170713)
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キーワード | ミャンマー / チン州 / ティディム / 資源調査 / 貧困追放 / 薬用植物 / 水環境 / ハチ毒 |
研究概要 |
ミャンマー北部のカチン州は多くの少数民族が独特な文化と生活習慣を有し、また鉱物及び生物資源が豊富であり、学術的に非常に興味深い。そこで本研究はカチン族の伝統文化及び豊かな生物資源に関わる基礎的学術調査を行い、その実態を明らかにするとともに有用資源の新規開発による地域の経済的発展及び健康増進のため、衣食住に関わる生活資源・環境について総合的に検討し、要件の明確化を図る事を目的とした。 23年度も情勢不安定のため初期の目的地のフーコンバレーは調査不可能であり、さらにカチン州の州都ミッチーナ近くのダム建設に伴い独立軍と政府軍の戦闘による死者も出たため、カチン州での調査を今年度は諦めた。しかし、これまで長らく外国人の入域が禁止されていたチン州北部で調査が許可されたので、12月にティディム周辺の薬用植物、植生、水環境についての調査に切り替えた。チン州北部の学術調査は全く初めてのことである。チン州の生活圏は標高1500~2000mの尾根上にあるため、観察された植物はこれまでのものとは異なり、興味深い結果が得られた。 またその辺り一帯はインパールの南に位置し第二次大戦の激戦地であったので鎮魂のために桜を植樹し、焼畑跡地の緑化及び少数民族の経済的自立のために、リンゴ、サクランボ、マツ、スギ等の苗、ウバメガシ、ツバキ等の種子を日本より持ち込み栽培法の指導も行った。マンダレー国立伝統医薬大学で伝統医療について意見交換し、伝統医療に用いる薬草を入手分析した。マンダレー管区の国立カンドージ植物園周辺で前年より引き続き果樹の栽培指導、薬用植物の試験栽培を行った。研究面では前年度の試料の分析よりミャンマーのモグラ類の分類学的情報・分布について、また単独性カリバチ毒から得られた新規抗菌ペプチドの構造と生物活性についての論文を発表し、インレー湖の水環境についてのDVD(放送授業)を作成した。
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