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2011 年度 研究成果報告書

アフリカの地域紛争にみられる新兆候に関する研究:ナイジェリアの事例を中心に

研究課題

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研究課題/領域番号 21401012
研究種目

基盤研究(B)

配分区分補助金
応募区分海外学術
研究分野 地域研究
研究機関京都大学

研究代表者

島田 周平  京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90170943)

研究期間 (年度) 2009 – 2011
キーワードナイジェリア / 地域紛争 / 脆弱性 / 地域問題 / アフリカ
研究概要

アフリカ各地で起きている地域紛争は、地域の歴史や文化を反映した特殊性を持っている。しかしそれらは、最近のグローバルな経済社会変動の中で起きているという同時代性も持っている。アフリカ諸国の多くは、1980年代に、債務問題から脱却するために構造調整計画を実施した。ベルリンの壁崩壊は、西側諸国のアフリカ地域に対する関心を低下させたものの、アフリカの政治的民主化を推し進める効果をもっていた。そして2001年9月11日以降の対テロ戦争は、アフリカ諸国に一層の民主化と市場自由化を迫った。
本研究で私は、ニジェール・デルタ地域の歴史と最新の地域紛争の実情に関する研究を行った。その結果、長期に及ぶ政府による無視や圧政がこの地域の人々、とりわけ若者達に絶望的感情を抱かせてきた経緯が明らかになった。また、日常生活を破壊された農漁民は、脆弱性を増大し、そのことが一層多国籍企業や政府に対する反撥を強めてきたことも明らかとなった。そして、人々の不満のはけ口は、地元の伝統的権威や政治家にも向けられるようになってきた。伝統的権威や政治家は、人々の苦しみを和らげるために仲介者としての役割を期待されたがうまく機能しなかった。時あたかも、シエラレオーネ、リベリア、コートジボワールで内戦が終熄し、西アフリカで大量の武器が流通する事態が生じ、これが紛争をより過激なものとした。
以上の結果は、ニジェール・デルタで頻発する「新しい紛争」が、地域的要因とグローバルな要因との相互作用や相乗作用の結果起きてきていることを示している。2009年に開始された(停戦のための)恩赦政策の成否も、このような地域的および国際的要因の両方から判断する必要があると思われる。

  • 研究成果

    (21件)

すべて 2012 2011 2010 2009

すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (10件)

  • [雑誌論文] アフリカの農家世帯の脆弱性をどう捉えるか2012

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 雑誌名

      講座生存基盤論1歴史のなかの熱帯生存圏

      ページ: 415-437

    • 査読あり
  • [雑誌論文] アフリカの小規模農民の脆弱性について考える2012

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 雑誌名

      季刊地理

      ページ: 63-2

  • [雑誌論文] ナイジェリア産油地域における地域紛争の特徴:最近の研究成果と解決への模索2012

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 雑誌名

      季刊地理

      巻: 63-1 ページ: 52

  • [雑誌論文] 新しい専門知の創出を2012

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 雑誌名

      地域研究

      巻: 12-2 ページ: 82-83

  • [雑誌論文] 脆弱性研究から考える社会のレジリエンス2012

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 雑誌名

      建築雑誌

      巻: 127-1629 ページ: 20-21

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ザンビアの1農村における最近の脆弱性の変化2011

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 雑誌名

      社会・生態システムの脆弱性とレジリアンス

      ページ: 266-275

  • [雑誌論文] 紛争解決:アフリカの経験と展望2011

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 雑誌名

      アフリカ研究

      巻: 78 ページ: 81-83

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 脆弱性の視点からみるアフリカ農業・農村考2010

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 雑誌名

      アフリカ研究

      巻: 76 ページ: 43-45

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ナイジェリアの地域紛争に関する新しい研究動向2010

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 雑誌名

      日本地理学会2010年春季学術大会発表要旨集

      ページ: 194

  • [雑誌論文] アフリカの民族問題と新しい地域紛争2009

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 雑誌名

      歴史と地理

      巻: No.623 ページ: 43-50

  • [雑誌論文] 脆弱性の視点から見るアフリカ農民・農業考2009

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 雑誌名

      アフリカレポート

      巻: 49 ページ: 3-7

  • [学会発表] アフリカの小規模農民の脆弱性について考える2011

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 学会等名
      東北地理学会2011春季大会
    • 発表場所
      東北大学片平さくらホール
    • 年月日
      2011-05-14
  • [学会発表] アフリカ研究最前線『可能性に生きる』2011

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 発表場所
      アフリカ研究資料センター
    • 年月日
      2011-02-19
  • [学会発表] African studies in Japan and in Kyoto University2011

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 発表場所
      African Studies Centre, Leiden University
    • 年月日
      2011-02-14
  • [学会発表] 脆弱性をどう捉えるか:レジリアンスの理解に関連して2010

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 学会等名
      国際開発学会21回全国大会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2010-12-04
  • [学会発表] ナイジェリア産油地域における地域紛争の特徴:最近の研究成果と解決への模索2010

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 学会等名
      東北地理学会秋季大会
    • 発表場所
      北海道学園大学
    • 年月日
      2010-09-18
  • [学会発表] ジェール・デルタの地域紛争:最近の研究成果と解決への模索2010

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 学会等名
      JETRO Lagos Office
    • 年月日
      2010-08-25
  • [学会発表] 多文化共生と地域紛争:アフリカで起きていること2010

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 発表場所
      東北学院大学社会福祉研究所オープンセミナー
    • 年月日
      2010-07-03
  • [学会発表] 地域紛争と環境問題:ナイジェリア産油地域で起きていること2010

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 学会等名
      京都大学G-COE生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点
    • 発表場所
      イニシアティブ4研究会
    • 年月日
      2010-04-19
  • [学会発表] ナイジェリアの地域紛争に関する新しい研究動向2010

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 学会等名
      日本地理学会春季学術大会
    • 年月日
      2010-03-28
  • [学会発表] アフリカの農村開発に求められていること-脆弱性の視点からの提言-2009

    • 著者名/発表者名
      島田周平
    • 学会等名
      日本国際地域開発学会2009年度秋季大会
    • 年月日
      2009-11-28

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公開日: 2013-07-31  

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