研究課題/領域番号 |
21401013
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
河合 渓 鹿児島大学, 国際島嶼教育研究センター, 教授 (60332897)
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研究分担者 |
西村 知 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (20253388)
小針 統 鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (60336328)
鳥居 享司 鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (70399103)
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キーワード | 人と自然の共生 / フィジー / 共分散構造分析 / 貨幣経済 / 資源管理 / 島 |
研究概要 |
カイコソの生態と海洋環境:野外標本解析と飼育実験から、フィジービチレブ島の異なる沿岸生態系を有する2つの漁場において、粒子食性二枚貝の餌環境を比較した。結果として、マングローブが繁茂する沿岸に隣接する漁場では、植物プランクトンが少ないものの懸濁粒子量が豊富なこと、二枚貝の殻長が大型化していることが分かった。更に、野外標本解析と飼育実験の結果から環境収容力を推定すると、この二枚貝は植物プランクトンに加えて懸濁粒子も餌として必要であることが示された。 この村の平均収入は比較的高いが、多くの村民がカイコソを採捕している。カイコソはほとんど消費、贈与されることもなく、販売される。この村は、生活保護や村外からの送金などのいわゆる世帯の生産活動とは関係のない移転所得の割合は低く、村民の経済活動による比較的自立した経済構造であるといえる。しかし、自然資源採取型経済の段階にとどまっており、カイコソなどの村内の自然資源は依然として、重要な所得の源泉である。村内の所得に対する自然資源への依存率が低下するまでは、自然資源への圧力は大きく減少することはないであろう。 生活様式を貨幣経済の浸透度の差により3つに分類し「人と自然の連動システム」について共分散構造分析を行った結果、フィジーの沿岸漁村には「生態系サービスの認識」と「貨幣経済化」という概念が「資源利用」に大きな影響をもつことが示された。伝統的村落では「生態系サービスの認識」、半近代的村落では「生態系サービスの認識」と「貨幣経済化」、近代的村落では「貨幣経済化」が重要と考えられる。
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