研究課題/領域番号 |
21401017
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研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
佐藤 一郎 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (30143639)
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研究分担者 |
木島 隆康 東京芸術大学, 大学院・美術研究科, 教授 (10345340)
工藤 晴也 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (90323758)
中川原 育子 名古屋大学, 文学研究科, 助教 (10262825)
谷口 陽子 筑波大学, 人文社会科学研究科, 助教 (40392550)
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キーワード | 絵画材料 / 絵画技術 / シルクロード / 石窟壁画 / 油絵具 / キジル石窟 / 自然科学的工学調査 / 媒剤 |
研究概要 |
平成21年度のキジル千佛洞の実地調査を経て、20世紀初頭にドイツ調査隊によって剥ぎ取られたキジル石窟壁画片調査の重要性を認識、2010年2月、予備調査のためにベルリン・アジア美術館を訪問した。本年度はベルリン・アジア美術館収蔵のキジル千佛洞壁画片の実地調査を2011年3月14日から22日まで行った。高精細デジタル写真撮影を中心に、アジア美術館およびラトゲン研究所との共同調査研究を行なった。さらに支持体、地塗り、絵具層の元素分析、絵具層の重層構造および彩色手順の調査、そしてキジル千佛洞の壁画との図像照合を行ない、判然としない図像の解明を試みた。実地調査により、収蔵庫の調査対象壁画片においてノーマル、赤外線写真、紫外線写真、側光線写真を撮影して視覚的記録作成を行なった。また、年代測定のための藁試料の提供を受けて次年度の調査で詳しい分析を行うこととした。 亀茲石窟研究所と本研究の意義を共有し、共同研究合意のために提出した草案も国家文物局にて審議されている。承認が得られれば、活発な意見交換とさらなる調査研究の進展が期待できる。 本年度のベルリン・アジア美術館の実地調査により、本研究はアジア美術館の調査チームの研究と方向性が連結することも分った。各種撮影による視覚的記録作成と支持体、地塗り、絵画層、媒剤の分析からキジル石窟壁画の絵画技術を見直し、検証をするための材料は揃いつつある。シルクロードの絵画技術、文化、歴史的交流を明らかにすることを目的としている本研究は日本、中国、ドイツの三国の情報交換と連携によって進展していく可能性も含んでいる。
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