5月から10月までの間インドのアーンドラ・プラデーシュ州、カルナータカ州、ケーララ州を中心に、各地のテルグ人コミュニティを訪問して日常会話の観察やインタビューを行い、主に動詞の活用と動詞に付随する後置詞、また名詞の格変化や用法を集中的に記録し、それらを辞書の見出し語とすべきデータベースに加えて行くという作業を行った。また資料収集として各地で出版されているテルグ語の出版物を収集し、その中に使われている単語を上記のデータベースに追加していくという作業を行い、次にデータベースが一定量に達すると、その中から基礎単語としてふさわしいものを選択して見出し語を確定し、その各見出し語に対して日本語訳の確定、および用法に関する熟語・例文の例示を行った。11月から12月までアラブ首長国連邦、スリランカ、マレーシアの各地で同様の要領で、テルグ語の用法に関する現地調査と資料収集を行った。最終的には約4000語のデータベースを構築した。 成果と意義については、本年度はフィールドワークの期間が長かったので、まとまった作業ができたこと、最終的に予定している6000語のうち3分の2にあたる4000語近くのデータベースを用意できたことは成果である。また調査中に発見された新たな見地として、当初予想していた地域方言や移民方言の多様性が、最近のグローバリズムの影響を受けてメディアの使用する標準型に近付いていること、地域方言と社会方言の区別がつきにくい場合があることが分かったことの2点がもっとも大きな成果である。
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