研究課題/領域番号 |
21401022
|
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
呉人 徳司 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (40302898)
|
研究分担者 |
遠藤 史 和歌山大学, 経済学部, 教授 (20203672)
風間 伸次郎 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (50243374)
白石 英才 札幌学院大学, 経済学部, 准教授 (10405631)
呉人 恵 富山大学, 人文学部, 教授 (90223106)
|
キーワード | 北東アジア諸言語 / 結合価 / 類型論 / 語意的接辞 / 携帯音韻論 / 文法記述 / 民話集 |
研究概要 |
平成23年度はそれぞれの対象とする言語のさまざまな文法現象について記述研究を進めたほか、民話テキストの収集を継続し、数冊の民話集を出版した。呉人(徳司)は、モンゴル語の他動性とヴォイスについて記述研究を進め、2011年7月に香港で開催された国際類型論学会で、同年の8月にモンゴル国ウランバートル市で開催された国際モンゴル学会で口頭発表行った。チュクチ語の動詞の結合価の変更について、類型論的視点から考察し、2012年3月に国立民族学博物館から出版されたObjectivization and Subjectivization : A Typology of Voice Systemに英語で寄稿したほか、国内外の学会で7回に亘り口頭発表を行い、モンゴル語とチュクチ語の他動性とヴォイスについての研究成果を披露した。呉人(恵)は、ロシアでの二回に亘るコリャーク語話者からの調査の成果を「チュクチ・カムチャツカ語族における属性叙述-N形の意味・機能の異同に着目して-」という論文としてまとめ、「北方言語研究』(第2号)に載せた。また、コリャーク人母語話者と協力して『星の王子様』のコリャーク語版を出版し,のこ本が現地の子供たちに貴重な読み物になった。遠藤は、型論的な視点からユカギール語の複合名詞について、または対格について論文を執筆したほか、国内の研究会では4回にわたり、ユカギー語の形態論・統語論的特徴について4回にわたって口頭発表を行った。風間は、主に類型論の視点から記述研究を行ない、その成果として、「アルタイ型言語における準動詞と言いさしについて」という論文を『北方言語研究』(第2号)に日本語で発表した。またナーナイの民話と伝説を二冊の本としてまとめ、『ツングース言語文化論集』の54号と54号を出版した。白石(ニヴフ語)は、ニヴフ語の音声学と音韻論に関する研究の成果をドイツ、オランダ、英国で4つの学会で発表したニヴフ語の複雑な音韻構造の解明を試みた。また昨年度に引き続き、ロシアの研究者と協力し『ニヴフ語音声資料8 スヴェトラナ フィリモノヴナ・ポリチェヴァ』という民話集を一冊出版した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メンバーの4人が北東アジア諸言語の複統合性に焦点を当て、それぞれが対象とする言語の調査を積極的に実施し、多くの一時データを収集している。そしてデータの整理・分析を進め、その成果を国内外の学会で成果を発表し、論文などの形で公開している。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は4年間の研究期間で進めているが24年度は最終年度になり、成果のまとめが重点を置きことになる。具体的に言えば、・現地調査で補足データの収集し、まだ解明できてない文法現象について、さらに考察し、その成果を国内外の学会での発表し、学術雑誌で論文として寄稿する。また、民話集のデータ・ベース化を進め、公開することを目指す。
|