研究課題/領域番号 |
21401023
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
天野 哲也 北海道大学, 総合博物館, 特任教授 (90125279)
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研究分担者 |
浪川 健治 筑波大学, 人文社会科学研究科, 教授 (50312781)
中村 和之 函館工業高等専門学校, 教授 (80342731)
石田 肇 琉球大学, 医学部, 教授 (70145225)
三宅 俊彦 専修大学, 文学部, 兼任講師 (90424324)
佐々木 史郎 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (70178648)
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キーワード | オホーツク文化 / 領域 / 慣習法 / 沖合自由航行権 / クマ信仰・儀礼 / イオマンテ型クマ観念 / マスカラード/カルナバル型クマ観念 |
研究概要 |
USシアトル・ワシントン大学におけるKBP(米日露・千島列島共同調査)ワークショップに参加し、報告を行った。その要点は(1)土器の特徴から見て、千島列島北部の集団はオホーツク文化後期にかなり孤立化したが、それでもなお道北地方の集団とある程度の交流をもった。(2)この交流は道東地方集団の領域を通過しなければ実現しない。それを可能にした条件は、他集団がであっても、岬や孤島を利用して飛び石伝いに領域内を移動することは黙認する「沖合自由航行権」と言うべき慣習法が当時存在したからであろう。 この仮説に対してワークショップ参加者、特にロシアの研究者から、道東地方経由ではなくオホーツク海を横断・航行した直接的な交流関係を想定できないかとの批判がなされた。 しかし、もしそのような直接的な交流が実現しているならば道北・千島北部の土器の間の共通性はもっと大きいはずであると天野は反論し、活発な議論が展開した。 ワシントン大学バーク博物館、カナダエドモントン・アルバータ大学、ロイヤルアルバータ博物館において、ヒグマ信仰・儀礼に関する新旧両大陸間の比較研究の予備的調査をおこなった。注目すべきはバーク博物館の展示"The Story of Kaats"の木彫で、メスのグリズリーと猟師の婚姻譚を表現している点である。これは雄グマ女性の関係を強調する旧大陸西部の「マスカラード/カルナヴァル型」に対して、その東半とくにアイヌ民族など極東地方に分布が偏る「イオマンテ型」に共通するものと解釈することができ、クマ信仰・送り儀礼の歴史的展開を分析する際に重要な手がかりとなる。
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