研究課題/領域番号 |
21401025
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
八尾 隆生 広島大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (50212270)
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研究分担者 |
桃木 至朗 大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40182183)
武内 房司 学習院大学, 文学部, 教授 (30179618)
嶋尾 稔 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 教授 (90255589)
松尾 信之 名古屋商科大学, 経営学部, 教授 (40308838)
西村 昌也 関西大学, 文化交渉学教育研究拠点, 助教 (60469236)
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キーワード | ハイフォン市 / コーチャイ(古斎) / カオバン省 / 家譜 / 莫氏 / 碑文 / 族復興運動 / 物質文化研究 |
研究概要 |
初年度は山地地区のカオバン隊、東部隊、考古学隊に分かれ、調査・研究を行った。 東部隊はハイフォン市とクアンニン省を訪れ、それぞれ文化スポーツ観光局と博物館での資料・情報収集ののちにフィールドに赴いて、ハイフォンのコーチャイ(古斎)、カウトゥーノイ(駒子内)の莫氏祀堂をはじめ、計4か所で莫氏の子孫を訪ねて、聞き取りや、家譜、勅封、碑文等の文字史料の収集をおこなった。碑文からは、皇太后などの王族男女と仏教との結びつきを示すかなりの情報がえられた。また、莫氏滅亡後に子孫が追求を逃れるために改姓したハイフォン市のコア(科)氏の聞き取りは興味深かった。ほかにクアンニン省では、仏教聖地イエントゥー(安子)山やクインラム(瓊林)寺など前の時代の宗教中心が莫朝時代を含む近世にどう維持・復興されたかの調査もおこなった。 山地では当初ランソン省を調査予定地としていたが、情報に乏しく、カオバン省を選び、省博物館及び図書館にて莫氏関連の史料調査を行ったが、カオバンの歴史に関する新出の史料は入手できたものの、莫氏に関する直接の史料はほとんど得られなかった。また現地でも9県15箇所以上の莫氏子孫の居住地を訪問したが、漢文史料を残している家は一軒もなかった。また莫氏への帰属意識も聞き取り調査では概して低く、平野部でさかんな「族復興運動」がこの地では低調でかっ受け身であることが判明し、17世紀のカオバン政権時代の莫氏研究の困難さを再認識した。 考古学隊は莫氏政権期とその前後の時期に関して、次年度以降の物質文化研究を目的とした発掘調査を行うための環境作りを行った。15-17世紀の北部ベトナムならびに中部ベトナムの考古学的情報の資料収集、具体的にはフーラン村やキムラン村などの窯業遺跡の瓦や陶磁器、胡朝城遺跡などの出土資料の資料化が中心である。
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