研究課題/領域番号 |
21401028
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
生田 美智子 大阪大学, 大学院・言語文化研究科, 教授 (40304068)
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研究分担者 |
藤原 克美 大阪大学, 世界言語研究センター, 准教授 (50304069)
上田 貴子 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (00411653)
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キーワード | ディアスポラ / ネットワーク / 白系露人事務局 / アイデンティティ / 出身国 / ホスト国 / 境界の流動性 / ナショナリティ |
研究概要 |
本課題はロシア系ディアスポラ社会が、日本の傀儡国家「満洲国」体制下で示したダイナミズムを人々が日常世界のなかに構築した様々なネットワークを分析することで解明することにある。 そのために、生田はロシア系社会におけるファッション・風俗に、藤原は経済活動に、伊賀上はコサック集団に注目し、ロシア社会を考察した。上田はハルビンにおける中国社会を中心にロシア人社会との関係を、思沁夫はホロンバイル地方におけるディアスポラ社会の民族構造を考察した。12月28日に高槻ワークホテルでハルビン・ウラジオストクを語る会と共催で成果発表会を開催し、上田は「移民の成功戦略-ロシア支配下における中国人移民と日本人移民の比較から」、藤原は「ハルビンにおけるロシア人の経済生活-チューリン百貨店の果たした役割、思沁夫は「ブリヤード人のアイデンティティの形成:境界性に生きる(1)」、伊賀上は「旧満洲国における日本人のコサック調査」、生田は「旧満州における亡命ロシア文化」と題して、報告し、知見を交換した。さらに、生田、藤原、伊賀上はそれぞれ成果を雑誌『セーヴェル』26号に発表した。 海外学術調査に関しては以下の三点を中心に行った。9月にはペテルブルグのロシア歴史文書館とモスクワにあるロシア帝国外務省外交史料館でソ連側の史料を中心に調査を行い、11にはハバロフスク地方国立文書館で亡命ロシア側の史料を調査した。3月にはサンフランシスコとスタンフォードでアメリカに第二次亡命した亡命ロシア人を中心にフィールドワークと文書館での調査をおこなった。 以上の調査から、亡命ロシア人は日本や満洲に操作されるだけの存在ではなく、人的ネットワークを形成して生き残りをはかっていたことがあきらかになった。
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