研究課題
研究目的は、アラビア半島ペルシア湾とオマーン湾の港町遺跡で発掘した出土品を用いて、地域間の技術的影響の様相を探ることである。現地産製品の他に現在の中国、ベトナム、タイ、ミャンマー、ウズベキスタン、イラン、イラク、イエメン、さらにヨーロッパ各地で作られた生活用品がペルシア湾・オマーン湾の港町から出土する。その種類と組み合わせ状態、流通の時代的変遷を明確にする。貿易で運ばれた物資が生産された地域の文化特徴を他地域の文化要素に伝え組み入れる役割を果たし、その痕跡が遺跡から出土した物を作る技術に残り、各地域間の技術交流の程度や文化接触の様相を伝えている。ホルムズ海峡に近い港町ディバ遺跡を調査拠点とし、周辺の遺跡も含めて出土する各地域産の陶磁器やガラス等を比較検討し、古代中世アジアの地域間技術交流の実態と海上貿易がもたらした地域生活文化の形成過程を他地域の状態と比較研究し、物作り技術が地域内で果たした歴史的な意義を論じる。平成22年度は、アラブ首長国連邦シャルジャ首長国のオマーン湾に面する海岸の港町遺跡ディバで発掘調査を継続した。最上層は20世紀であるが、今回は19世紀の第2層を整理し、図面作成・写真撮影を行った。層位的に出土品の整理分類を行い、周辺遺跡の出土資料と比較検討するデータを集めた。貿易品として運ばれた物、生活で使用された地域内生産の物を分類して、同時代の組み合わせを推定することができた。これまで他の遺跡で調査研究した物や研究成果と比較し、各種製品の流通圏を想定しつつある。
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金沢大学考古学紀要
巻: 32 ページ: 13-17
第18回西アジア発堀調査報告会報告集
巻: 18号 ページ: 136-140
Bulletin of Archaeology, The University of Kanazawa
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