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2009 年度 実績報告書

北アメリカ地域における先住民生存捕鯨と先住権

研究課題

研究課題/領域番号 21401045
応募区分海外学術
研究機関国立民族学博物館

研究代表者

岸上 伸啓  国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 教授 (60214772)

キーワード北アメリカ / 先住民生存捕鯨 / 先住権 / 生業 / イヌピアック
研究概要

平成21年度は、アメリカ合衆国アラスカ州バローにおいて2009年6月と2010年2月から3月にかけての2度にわたって現地調査を実施し、アラスカ先住民イヌピアットによる先住民生存捕鯨に関する基礎的な情報を収集した。特に、今回の調査では、捕獲されたクジラの肉と皮脂の分配のやり方、春季捕鯨後に実施されるアプガウティ祭りおよび春季狩猟の準備全般に関する情報を参与観察とインタビューに基づいて収集した。また、日本鯨類研究所において先住民生存捕鯨に関する国際捕鯨委員会関係のデータを収集した。これらのデータをもとに、国際条約・協定や国家政策、環境NGOの活動、石油・天然ガスの資源開発、海運・観光活動、地球の温暖化など環境の変化が、アラスカ州バロー村におけるイヌピアットによる捕鯨活動にどのような影響を及ぼしているかについてアクター・ネットワークの視点から分析した。その結果、きわめて不安定な政治経済および自然環境のもとで先住民生存捕鯨が実施されていることが判明した。
さらに、捕鯨に関する文献のデータベースの作成に着手し、既存の文献のレビューを開始した。暫定的ではあるが、捕鯨の研究に関しては、海事史や捕鯨史を中心に膨大な蓄積があるが、現在の先住民生存捕鯨についてはほとんど研究が行われていないことが判明した。さらに、現在のアラスカの先住民生存捕鯨は、先住民の権利としてというよりも、文化的な必要性と栄養学的な必要性から国家によって承認され、実施されていることが判明した。言い換えれば、アラスカにおける先住民の法的な根拠は、1972年の「海獣類保護法」の例外条項であり、1971年の「アラスカ先住民土地請求処理法」(ANCSA)ではないことが明確になった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] アラスカ先住民イヌピアックとホッキョククジラの関係の歴史的変化2009

    • 著者名/発表者名
      岸上伸啓
    • 雑誌名

      人文地理 61(5)

      ページ: 436-439

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 総論-開発と先住民2009

    • 著者名/発表者名
      岸上伸啓
    • 雑誌名

      『開発と先佳民』(岸上伸啓編)

      ページ: 13-33

  • [雑誌論文] 北アメリカにおけるもうひとつの先住民族問題2009

    • 著者名/発表者名
      岸上伸啓
    • 雑誌名

      『「先住民」とはだれか』(窪田幸子・野林厚志編)

      ページ: 134-154

  • [図書] 開発と先住民2009

    • 著者名/発表者名
      岸上伸啓(編著)
    • 総ページ数
      360
    • 出版者
      明石書店
  • [備考] 国立民族学博物館ホームページ

    • URL

      http://www.minpaku.ac.jp/research/sr/21401045.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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