本研究は、日本が西洋近代を積極的に受容した明治年間にアイヌ社会を訪れた外国人がのこした記録類を検討することにより、そこでおこなわれたさまざまな交渉を人類学的に再検討しようとするものである。本年度は、各国の施設に保管されている資料類のうち未調査のものを中心に調査をおこなった。 (1)S.キュリンは1909および12年に日本を訪れている。とくに12年には北海道と南千島で資料を収集している。このときの記録類は未調査であり、ブルックリン美術館(合衆国NY州)でおこなった(連携研究者;山崎幸治他)。スクラップブックに整理されているが量があるため、23年度も引き続き調査をおこなうこととしている。 (2)C.ロングフェローは1871~73年に日本を訪れ日記を残しているが、同時に写真類を購入している。すでに翻訳は出版されているが、写真の細部を確認する必要がありロングフェローハウス(合衆国マサチューセッツ州)において調査した(連携研究者;田村将人ほか)。 (3)B.ライマン資料は継続調査としている。スミソニアン協会文書館(ワシントンDC)およびフィラデルフィア哲学協会(合衆国ペンシルベニア州)において調査をおこなった(連携研究者;財部香枝)。 (4)そのほか、F.スター撮影した写真・スライド類についてワシントン州立大学およびオレゴン大学において調査をおこなった(合衆国ワシントン州)(連携研究者;宮武公夫ほか)。また、N.G.マンロー資料および日英博覧会資料についてRAI(英国)において調査をおこなっている。日英博覧会展示資料があることが確認され、23年度に詳細な調査をおこなうこととしている(代表者)。 調査で得られた資料については、現在整理中であり、23年度以降、発表していきたい。
|