研究課題/領域番号 |
21402003
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
下渡 敏治 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00120478)
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研究分担者 |
上原 秀樹 明星大学, 経済学部, 教授 (80151827)
ロイ キンシュツク 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (10339294)
宮部 和幸 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (40409066)
長坂 貞郎 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (70318385)
高樋 さち子 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (00261644)
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キーワード | モンスーン・アジア / 農業・食料システム / 自然生態系 / 環境 / 食料 / エネルギー / 環境適応型モデル / 研究手法 |
研究概要 |
研究最終年度となる本年度は、過去2年間の現地調査で十分カバーできなかったインド、バングラデシュ、カンボジア等を主な調査対象に、重点的、捕捉的な追加調査を実施した。インドではデカン高原の大豆増産プロジェクト、チャッテイスガリ州での現地調査とジャワハラール・ネルー大学、センサスセンターでの資料収集、バングラデシュではバングラデシュ農業省でのヒアリングと現地実態調査を実施し、中国では斥江省の茶産地及び斥江大学農学院、同経済学院においてヒアリング調査と資料収集を実施した。これらの調査を通じて、モンスーン・アジアに位置するこれらの国々と調査地域において、経済発展、人口増加に伴う自然生態系の破壊や劣化、大気汚染や農地の改廃がこれまで以上に深化している事実が確認されると共に、世界的な資源価格の高騰の影響を受けて穀物、肉類、青果物、油脂などの食料物資の値上がりが消費者とりわけ現地の貧困層を直撃している実態を目にすることができた。その一方で、途上国では貧困から抜け出した中間所得層が大きく増加しており、近い将来、われわれ先進国の消費者は豊かになったこれらの途上国の中間層と穀物や動物性食料やエネルギー資源を奪い合わなければならない状況に陥ることが懸念される。こうした事態を避けるためにも、本研究課題で提示したモンスーン・アジアの自然生態系、社会経済条件にマッチした農業・食料システムの構築が不可欠であり、環境問題への対応を含めて食料の安全保障体制の確立に向けて国家の枠組みを超えてアジア全体として取り組むことの重要性がこれまで以上に高まっていることを再認識した。本研究では、1,モンスーン・アジアに固有の環境適応型の農業・食料システムのモデル構築と、2,社会科学と自然科学を融合した新たな研究手法の確立を目指して取り組んでぎたが、最終年度となる本年度の成果は平成24年度に出版予定のインド、バングラデシュを主な内容とする南アジアの農業・食料システム(仮題)においてその試論的なモデルの一端を提示するとともに、最終成果の取り纏めに向けて海外研究協力者との間での議論を深めているところである。
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