研究概要 |
本研究では、日本と類似の文化的基盤を持ち、すでにグローバル競争力のある製品を製造している韓国及び中国の製造業における新製品開発活動と新製品優位性との間の関係性を集中的な現地調査により分析することを目的とする。具体的には、韓国及び中国の製造業と日本、ドイツの製造業との新製品開発プロセスの比較により、(ア)類似性、(イ)企業内での部門横断的相互作用とコミュニケーション、(ウ)新製品開発チームの能力、及び(エ)プロセスの前段階(フロントエンド)、の各要因と新製品開発の成功との間の関係性の有無、オープン・イノベーションの活用による新製品開発プロセスの存在、などについて明らかにする。平成21年度は、分析のフレームワーク及びアンケート調査項目の作成及びその有効性確認を次の手順により実施した。 (1)韓国や中国の有力製造業及びそれらの新製品開発プロセスやオープン・イノベーション手法に関しての文献調査を両国の大学や研究機関の研究者たちの協力を得て実施した。また、ドイツで類似研究を行っているハンブルク工科大学のHerstatt教授の協力を得て、日本、ドイツ・韓国・中国の共通のアンケート調査項目を決定した。 (2)(1)のため、日本、韓国、中国、ドイツの研究者たちとの国際共同研究チームを組織し、具体的なアンケート調査項目を作成し、まず、韓国語への翻訳を行った。そして、アンケート調査表の有効性を確認するために、韓国の研究チームの協力を得て、韓国企業に対してパイロット・スタディを実施した。この結果については現在投稿中である。 (3)(2)に基づいてアンケート調査表の表現の改善を行い、1)研究開発型企業、2)売上高50億ウォン(約4百万円)以上、3)従業員数10人以上の企業、の約2,000社のリストアップを完了し、平成22年5月~7月に実施予定である大規模アンケート調査の準備を行った。
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