研究課題/領域番号 |
21402005
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
渥美 公秀 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (80260644)
|
研究分担者 |
矢守 克也 京都大学, 防災研究所, 教授 (80231679)
上村 靖司 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (70224673)
関 嘉寛 関西学院大学, 社会学部, 准教授 (30314347)
|
キーワード | 中山間地 / 災害復興 / 台湾集集大地震 / 中越地震 / 四川大地震 / 集落 / 縦断的定点観測 / 横断的事例比較 |
研究概要 |
中山間地が被災した台湾、中越、四川地震を対象として、「縦断的定点観測」と「横断的事例比較」という手法を用いて、中山間地における災害復興を実証的かつ理論的に検討し、当該被災地の被災者・被災集落および将来の災害復興に対する実践的なプログラムを導出するため初年度の研究を推進した。具体的には、(1) 台湾集集大地震の10周年事業にみられる中山間地の復興について、台湾南投縣の被災集落、中心市街地、博物館、および、新故郷基金會を訪問し、研究者、学芸員、財団職員、および、住民にインタビュー調査を実施し、資料を収集した。さらに、被災集落の代表者と中越地震の被災地住民との交流を行い、復興に関する知見の伝承について検討した。(2) 中越地震の5周年事業にあたり、その企画段階と周年事業の実施現場(特に小千谷市塩谷集落)を調査し、復興に関する知見を収集した。(3) 四川大地震における長期的な復興調査対象集落の選定を行うため、四川省什?の中国科学院心理研究所、および、周辺の複数の集落を訪問し、復興の現状を調査するとともに、集落のリーダーの有無、体制、支援諸機関との関係などを調査した。その結果、台湾における長期的な復興過程に住民と支援者との軋礫が観察されたこと、中越地震の被災集落の復興過程においても同様の傾向が見られることを、それぞれ縦断的に確認し、相互に比較することによって、次年度以降、横断的に事例比較を行うための論点が明らかになった。また、四川大地震からの復興過程に関する観察を続ける準備を整えることによって、次年度以降、他の2つの事例との比較検討を行うための研究計画を練ることができた。さらに、中越、四川については事例発表と理論的、方法論的考察を公刊した。中山間地の災害復興に関する比較検討を実施していくための基盤を整備したことにより、本研究の初年度の研究計画は達成された。
|