| 研究課題/領域番号 |
21402006
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| 研究機関 | 東京大学 |
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研究代表者 |
園田 茂人 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (10206683)
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| キーワード | 日系企業 / 韓国系企業 / 台湾系企業 / 中国 / 現地化 / 比較研究 / 華中 / 華南 |
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| 研究概要 |
本研究は、従来の研究の限界を突破し、今まで申請者が作り上げてきた韓国、台湾、中国の研究者ネットワークをうまく利用することで、「中国」に向き合って現地化を図ってきた日系、韓国系、台湾系企業の比較分析を行うことを目的としている。
４年プロジェクトの３年度にあたる本年度は、２年度に中国（上海・蘇州地域と広東）で集めたデータを、研究協力者の視点から分析し、韓国、台湾、日本の企業の特徴を析出することに力を注いだ。そして、10月13日に台湾・東呉大学で「面向中国：台、日、韓商在地化過程比較（中国と向き合って：日韓台の現地化比較）」と題するワークショップを実施。合計5名の研究者が、それぞれの成果を報告した。その結果、(1)特に日系企業で長期勤続者が生まれているものの、(2)どの企業でも中国系企業での勤務を望む層が生まれるなど、経営環境が変化しつつあること、また(3)日台では、それぞれ相手の経営上の比較優位を強く意識する傾向に大きな変化が見られず、(4)他方で韓国系企業では、特に日系企業と比べて駐在員の中国語能力が高く、現地でのネットワークを作ることに多大なエネルギーをかけていること、など興味深い知見が報告された。
これらの知見は、同じ現地化といっても、特に日系企業と韓国系企業とでは具体的な顕現が異なっていることを示唆するが、ワークショップでは、こうした仮説をより説得的に展開するために本社の戦略を中心にしたサーヴェイを行うべきことが提案された。そこで、今年度の研究予算を来年度に回し、韓国と日本の対中進出企業の本社を対象にした比較調査を実施することとなり、そのための具体的な調査デザインに時間がかけられることとなった。同時に、各自の報告をブラッシュアップし、翌年度に成果報告会を行うこととした。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに計画した中国の華中、華南の調査を終え、韓国、台湾、中国の研究者を含め、共有したデータをもとに、初歩的な分析を終えている。また、特に日韓の企業で中国における現地化の違いがデータをもとに炙り出され、2000年データだけではわからない特徴を析出することに成功している。これを理論化・一般化したり、海外のジャーナルに投稿したりすれば「当初の計画以上の進度」ということになるが、さすがにそこまでは進んでいない。
120万円の繰り越しが生じたのは、日韓の本社を比較研究する必要が生じたために、意図的に行ったためであるが、こうした新しい調査アジェンダが生まれたことは、プロジェクトマネジメント上の混乱というよりは、むしろ順調にプロジェクトが実施されたことによる副産物と考えている。実際、平成24年度に実施した本社比較調査からは意味ある知見が得られており、こうした問題意識が生まれたことは大変望ましいことだった。
最初は、ワークショップの実施はクローズドな形式で行おうと思っていたのだが、学生に研究の最先端に触れさせたいという台湾・東呉大学のパートナーの配慮により、ワークショップでの報告が同大学の教員や学生を含むオーディエンスの前で実施されることになった。そのため、プロジェクト参加者は分析や報告に手を抜くことが許されなくなり、早い段階で分析のドラフトが提出されたのは、プロジェクトのマネジメントという点で大変によかった。
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| 今後の研究の推進方策 |
来年度は、本社調査の結果をまとめるとともに、より理論的な考察を深めることにしたい。また、各国の連携研究員が行った分析を再度まとめ、国際シンポジウムで報告したいと考えている。特に、中国市場（特に労働市場）とのインタラクションについては、中国人研究者の意見を聞く必要があることから、中国での成果発表をすることで、有益なフィードバックを得たいと考えている。
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