中米グアテマラ共和国セイバル遺跡において、広範な発掘区の層位的発掘調査を実施した。その結果、マヤ文明の起源に関する重要な考古資料を得ることができた。まずセイバル遺跡の神殿ピラミッド複合を発掘し、前1000年頃の最古の公共建造物を検出した。またセイバル最大の神殿ピラミッドの前の層位的発掘調査を実施した結果、前1000~前400年の建造物の増改築を確認できた。セイバルの初期の建設活動は、従来考えられていたよりも盛んだったのである。一方、前1000~650年頃のオルメカ美術様式の緑石製磨製石斧の埋納が見つかった。セイバルの支配層は、先古典期中期の初期からメソアメリカのオルメカ美術様式を構成する遠距離交換網に参加していたことがわかった。出土した遺物の詳細な分析を通して、マヤ文明の政治経済組織の通時的変化に関する基礎的研究を行った。研究協力者(海外共同研究)と協力して、土器、石器、その他の遺物の全ての出土遺物を分析対象とした。セイバル遺跡から出土した石器の製作技術・工程に関する属性分析を行い、石器の分析データをコンピュータに入力してデータベース化した。また出土した主要な石器の写真撮影を行った。
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