研究課題
中米グアテマラ共和国エル・ペテン県に立地する、マヤ文明のセイバル遺跡において、神殿ピラミッド跡や王宮をはじめとする住居跡の層位的な発掘調査と多種多様な遺物の分析を行った。セイバル遺跡の層位的な発掘調査によって、自然の地盤の上に前1000年頃に建造された公共広場と、その東と西に面する土製の公共祭祀建築の基壇が出土した。これは、マヤ低地で最古の「Eグループ」であり、この成果を米国の科学誌Scienceに発表した(Inomata et al. 2013)。公共広場の東と西に面する公共祭祀建築の基壇は増改築され続け、前9世紀に西側の基壇は神殿ピラミッドを構成した。神殿ピラミッドは、後に人工の神聖な山を象徴した。多くの人を動員して神殿を増改築してさらに大きな神聖な山を築き、権力を強化したのである。前8世紀には東側の基壇の長さは50mを超え、石造の階段が設けられた。セイバル最大の神殿ピラミッドを頂く「大基壇」の発掘調査によって、先古典期中期の前半(前1000~前700年)に建造された幅が34mを超える大きな基壇が検出された。初期の建設活動は、従来考えられていたよりも盛んだったのである。セイバルはその後も発展し続けるが、後5世紀半ばに一時的に衰退した。しかしセイバル王朝は、7世紀に再興し、9世紀にパシオン川流域で最大の都市として栄えた。発掘調査によって、10世紀に王宮が破壊され、火をかけられたことがわかった。しかも王宮を飾った漆喰彫刻の男性像の顔が、儀礼的に打ち首にされていた。王宮では、破壊儀礼が行われたのである。また「中央広場」に面する神殿ピラミッドでも、同様に破壊儀礼が執行されたことが判明した。セイバル王朝の最後は、暴力を伴ったのである。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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琉球列島先史・原史時代における環境と文化に関する実証的な研究 研究論文集[第2集] 琉球列島先史・原史時代の環境と文化の変遷 六一書房
巻: - ページ: 267-280
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XXVI Simposio de Investigaciones Arqueologicas en Guatemala
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チャスキ
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