研究課題/領域番号 |
21402015
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
広瀬 崇子 専修大学, 法学部, 教授 (20119431)
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研究分担者 |
石川 一雄 専修大学, 法学部, 教授 (60095552)
伊藤 融 防衛大学校, 人文社会科学群, 准教授 (50403465)
北川 将之 神戸女学院大学, 文学部, 講師 (00365694)
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キーワード | 南アジア / ディアスポラ / 宗教施設 / 移民政策 / マイノリティ |
研究概要 |
本年度はシク教徒、カシミール系ムスリム、スリランカ出身のタミル人の3つのコミュニティのホスト国内での政治活動と宗教の関係の現地調査を行った。主な発見は以下の通りである。今後さらに調査を重ね、これらの仮説を検証し、3つのコミュニティの比較を行う予定。国内ではデータのデジタル化の作業を進めている。 (1) タミル人についてはこれまで紛争が継続中であったため控えていたが、一応武装闘争が終結したので、初めて本格的な調査を行った。東ロンドンに大きなコミュニティがある。そこの市議会議員を中心に調査を行った。多くのタミル人は本国の紛争によって脱出を余儀なくされたが、比較的安定した生活を確保し、今度はその財力を使って、ジャフナの再建を考えている。本国政府との力関係が大きく変化したことがわかった。宗教はあまり大きな役割を果たさず、本国の政治問題が最大の凝集力となっていると考えられる。 (2) ホスト国におけるマイノリティ政策が転換期を迎えていることが明らかとなった。カナダの多文化主義はケベック州内では通用しない状況で、早い時期にケベックに移住した南アジア出身の英語話者は厳しい環境に置かれ、ここではコミュニティ活動は極力抑えられている。国家、州、さらに地方自治体という異なるレベルでマイノリティ問題を重層的にとらえる必要があることが新たな課題として浮かんだ。 (3) ホスト国におけるコミュニティ活動および政治動員における宗教の役割は、ムスリム、シク教徒の場合は大きいが、スリランカ・タミルにとってはそれほど重要ではない。それはヒンドゥー教徒がさらに言語などによって分断されていることが一因であるが、ムスリムと比較すると興味深い。
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