研究分担者 |
井口 隆史 島根大学, 名誉教授 (70032604)
伊藤 勝久 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (80159863)
関 耕平 島根大学, 法文学部, 准教授 (10403445)
一戸 俊義 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (20252900)
小林 伸雄 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (00362426)
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研究概要 |
本研究の目的は,砂漠化防止の研究において,これまで手薄だった社会科学面からの研究体制を格段に補強して自然科学との連携を図り,学際的に砂漠化の原因および対策を研究することである。 科研3年計画の最終年度に当たる本年度の研究成果は,以下の2点である。 (1)本研究の集約目標として当初設定した「中国の砂漠化に関する地域別実態報告書」のまとめを,寧夏,内モンゴル,新彊の3自治区について基本的に終了した。 まとめは,各3自治区の砂漠化実態と総論の4部構成とし,(1)砂漠化と人間行動,社会経済システムとの悪循環構造の解明,(2)人間活動と急速な産業化がもたらす環境負荷圧力の自然科学的解明とデータ整理,(3)地域別の社会システム,自然科学データの収集整理とデータベース化を内容としている。まとめには,地元大学の学生の協力により,調査対象地域における農牧民および地方政府を対象としたアンケート調査結果も収録した。 3ヵ年の研究対象地域がこの3自治区であり,中国の砂漠化のおよそ7割を占める。このような広大な砂漠化地域の学術的な総合実態調査は中国でも初めてであり,今後の砂漠化対策の科学化にとっての価値は大きいものと考えられる。 (2)研究目標を達成するために,第2年度から重視したのが,当該3地域の砂漠化を研究対象とする中国人専門研究者との協力体制の強化である。3ヵ年の研究集約に向けて,研究協力者の参加を得て研究を中間集約する「砂漠化防止研究ワークショップ」を10月に内モンゴルで開催し,また,最終集約を前に「砂漠化防止研究会議」を2012年2月に北京で行なった。これが,砂漠化問題に関する日中学術連携を今後発展させるための新しい基盤をつくったという意義は小さくない。
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